名刺管理で見なおす働き方改革

人手不足で無理?しわ寄せで大変?働き方改革の課題と効果が出た取り組み事例|中小企業の働き方改革

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近年、国を挙げて推進されているのが働き方改革です。国民一人ひとりが多様な働き方を選択できる社会の実現を目指すもので、働き方改革関連法が順次施行されるなど、法整備も進められています。これに合わせて、法規制への対応や働き方改善の取り組みを始める企業も増えています。 その一方で、人手不足や多忙な業務といった課題に直面し、具体的にどのようなアクションを起こすべきか悩んでいる企業経営者・担当者も少なくありません。 そこで今回、企業の働き方改革への取り組み状況と、実際にどのような取り組みをしているのかの導入事例をご紹介します。

人手不足で無理?しわ寄せで大変?働き方改革の課題と効果が出た取り組み事例

企業の働き方改革の取り組み状況

株式会社帝国データバンクは、201912月に実施した「TDB景気動向調査」と合わせて、特別企画「働き方改革に対する企業の意識調査」を行いました。

※調査期間は20191216日~202016日。全国23,652社を対象に調査し、有効回答企業数は10,292社。

この調査結果によると、働き方改革に「取り組んでいる」と回答した企業数は60.4%でした。20188月に実施した前回調査では37.5%だったことから、1年超で22.9%増という結果になりました。

これを企業規模別に見ると、次表のようになります。

企業規模 「取り組んでいる」と回答した割合
大企業 75.7%
中小企業 56.7%
小規模企業 41.6%

働き方改革関連法は順次施行されていますが、そのひとつである「時間外労働の上限規制」は20194月時点では中小企業への適用が1年間猶予されています。企業規模別に取り組みの割合に差があるのは、こうした法規制のスケジュールも影響しているものと考えられます。

今後、働き方改革関連法が中小企業にも適用されるのに合わせて、中小企業、小規模企業での取り組み割合も徐々に増加していくものと予測されます。

働き方改革の取り組み状況の変化

働き方改革に着手している企業は、具体的にどのような施策を打っているのでしょうか?

同調査では、働き方改革の取り組みについて「取り組んでいる」(60.4%)、「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」(16.3%)と回答した合計76.7%の企業を対象に、具体的な取り組み内容を尋ねました。

その結果を回答数が多い順に上位10項目を挙げると次のようになります。

※複数回答可

  1. 休日取得の推進:2%
  2. 長時間労働の是正:0
  3. 人材育成:6%
  4. 健康管理の充実:9%
  5. 職場風土づくり・ 意識の改善、コミュニケーションの活性化:7
  6. 業務の合理化や効率化のためのIT・機器・システムの導入:6%
  7. 従業員の理解を得ること:8%
  8. 定年の延長・廃止、継続雇用制度の導入:3%
  9. 業務の集約化やプロセスの見直し・改善:5%
  10. 経営層が率先して推進すること:4%

近年、注目されている「サテライトオフィスやテレワークの導入」は7.8%という回答数にとどまりましたが、今後、新たに取り組む内容として「サテライトオフィスやテレワークの導入」を挙げる企業は23.6%1位となり、導入を考える企業が多いことがうかがえます。

実際に企業が行っている施策には次のようなものがあります。

  • 有給休暇も含めた休暇を最大限利用できる環境の整備
  • 社内業務をシステム化して労働時間を短縮
  • 時間外労働・休日出勤の管理体制をペーパーレス化

積極的に取り組みをしている企業では、「従業員の心身の健康を配慮しつつ、働きやすく自己向上できる職場づくりを目指していきたい」など、前向きな意見が見られました。

働き方改革に取り組んでいない理由

76.7%と4社に3社が何らかの取り組みをしている(または今後取り組む予定としている)一方で、「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」「取り組む予定はない」と回答した企業も全体の10.9%存在しました。

その理由として多かったのが、「必要性を感じない」(34.2%)、「効果を期待できない」(25.4%)、「人手不足や業務多忙のため、手が回らない」(22.4%)などです。

働き方改革への対応の難しさという点では、積極的に取り組みを行っている企業にも多くの悩みがあり、次のような課題が挙げられています。

  • 労働時間が仕事量になるため、時間短縮が社員の所得ダウンに直結しやすい(建設業)
  • 同一労働同一賃金で人件費は必ず上昇し、赤字になる可能性があるため、人員削減するしかない(製造業)
  • 資金力、余剰人員の問題、人材などが異なる大企業と中小企業を同じ法律で縛るのは厳しい(製造業)
  • 有給休暇を消化するタイミングが難しい。休むと今度は工事が滞ってしまう(土木建築)

人員や資金面に限りがある中小企業は、多くの課題を解決しながら働き方改革に取り組まなければなりません。業種によっても取り組みに差が出てしまうことも課題です。

働き方改革における課題のひとつは「人手不足」

働き方改革における課題のひとつは「人手不足」

帝国データバンクの調査結果にも表れているように、企業が働き方改革に取り組む上での課題のひとつが「人手不足」です。最適な人員配置ができていない結果、今いる従業員の長時間労働や休暇取得率の悪化にもつながります。

それでは、「人手不足」という課題に対して、どのような対策が打てるのでしょうか?厚生労働省が開発した「働き方・休み方改善指標」を用いたコンサルティングに基づく対策例を見てみましょう。

「人手不足」が引き起こす課題と解決ポイント

「人手不足」は、企業の事業活動にさまざまな影響を及ぼします。「人手不足」が引き起こす課題と解決ポイントには、次のようなものがあります。

  • 課題1:所定休日以外の有給休暇は、急な病欠などでしか利用できない
    人手不足の問題で、よく耳にするのがこの課題です。有給休暇を取得しようと思っても、チームの負担を減らしたくないから休みが取れないという従業員は少なくありません。
    これを解消するためには、「連続休暇制度」などの仕組みを用意するという方法が挙げられます。もちろん、ただ制度を作っても浸透するとは限りません。全従業員が制度を活用するために、人員配置・業務内容の見直し、支社・店舗間の応援人員の確保など、休暇取得促進に向けた働き方の見直しも同時に進める必要があります。
  • 課題2:ノルマ達成が厳しく、成約率アップなどの工夫がなかなかできない
    従業員数が少ない職場では、業務が属人化しやすい傾向にあります。そのため、社内でノウハウが蓄積されず、業務効率が上がらないという課題に直面しやすい傾向があります。これを防ぐために、コミュニケーションツールの導入やIT化を進め、一人ひとりの従業員の知識や経験を共有および収集できる環境を整えることが有効です。
  • 課題3:担当プロジェクトが終わっても、すぐ次のプロジェクトに投入されてしまう
    プロジェクト進行中はチームで動くことが多く、不測の事態への対処も求められるため、休日を含めなかなか休暇を取ることができません。こうした状況が慢性化するのを防ぐためには、プロジェクト終了後には連続○日の休暇を取得する制度を設ける方法があります。連続休暇を加味したスケジュールや事業計画を、マネージャーや上長に義務付けることも必要です。

効果やメリットを実感!働き方改革で人手不足解消に取り組む中小企業事例

働き方改革に取り組んだ結果、人手不足という深刻な課題の解消につながった中小企業も少なくありません。その立役者となったのがITツールの導入です。

これから紹介する3社は、いずれもIT活用を推進したことで業務効率化を行って働き方改革を実現できました。なぜこの3社は効果的にITを活用することができたのか。それぞれの背景やIT活用の効果についてご紹介します。事例を参考にITツールがもたらす効果を自社に当てはめて考えてみてください。

事例出典:ミラサポ(中小企業庁)https://www.mirasapo.jp/

名刺を社内共有するITツールを導入して営業の効率化を図った事例

株式会社トヨコンは、愛知県豊川市にあり、包装設計や梱包、倉庫管理業務など、総合的な物流サービス事業を展開している従業員数約150名の企業です。

これまで、アナログで場当たり的な飛び込み営業スタイルをとっていた同社。ロジカルに動くのではなく、人海戦術で個人プレイが多く属人性が高いこと、営業の数字目標に根拠がないものであることなどが課題となっていました。同じチームのメンバーの動きも分からず、個々のメンバーが持っている情報だけを頼りに営業活動をしていたため、他のメンバーがすでに訪問していた企業を再訪してしまうというバッティングもしばしば起こっていたそうです。

取引先が発注を海外へシフトする中で、減産への危機感もあり、社長の指揮のもと社内に新プロジェクトを立ち上げ。「単なる物売り」から「お客様の課題解決をできる存在」を目指して、改革に乗り出しました。

社内改革の取り組みのひとつとして、「デジタルの世界と接点を持つ」、「営業の可視化」の2つの観点から、MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用を推進。名刺を社内で共有する名刺管理ツールを導入しました。名刺管理ツールの運用にあたっては、名刺データ取り込み意識を定着させるためにポイント制を採用して、それが評価につながる仕組みを整備したそう。取り込んだデータをタグ付けして業種や役職などで分類、顧客の重要度を振り分けるスコアリングにも役立てました。さらに、ホームページやメールマガジンとMAツールを連携させ、問い合わせへのリスポンスの強化を図ることにしました。

これらの施策によって、名刺管理ツール導入から3年後。問い合わせ件数が約15倍に増加するとともに、問い合わせからの受注率は20%と高い確率になりました。導入時の売上予測と比べても300%を達成するなど堅調に推移していると言います。プロジェクトの地道な取り組みが実を結び、企業文化も変わってきたそうです。

顧客管理、予約管理、売上管理をITツールを使って一元化した温泉ホテルの事例

新潟県南蒲原郡で旅館を営む株式会社ホテル小柳。新潟の温泉地のひとつ田上温泉にある4軒の旅館のうち最も規模が大きく、県内から多くの宿泊客が訪れます。従業員はパートを含め90名いますが、人手不足による従業員の確保が課題でした。また、旅館での管理業務は手作業や重複作業が多く、マンパワーが必要なものばかり。同社は人手不足解消と合わせて、業務効率化も進めていきたいと考えていました。

同社社長がIT活用に興味を示したのは同業者からのアドバイスです。当時、使用していた会計ソフトをアップデートすることで、売掛金データと宿泊業務システムとを連携させることができると知りました。実際に導入したのは、顧客管理や予約管理、売上管理など宿泊業に合わせたデータを連携・活用できるツールのクラウド版です。宿泊客からのオーダー対応や売掛管理など、オプションも豊富でした。

同ツールを採用したことで、現在ではインターネットからの予約データを取り込み、一部を除いて部屋割りまで自動化できるようになりました。予約データは調理予定にも自動で反映されるようになり、手作業による管理や入力作業が大幅に削減されています。スタッフはスマホ端末を持ち歩き、宿泊客の情報・メニュー変更にも素早く対応しています。

シフト管理、サービス実績記録をIT化による時間削減を実現した介護施設の事例

株式会社四国総合プランニングは、香川県高松市で複合型介護施設「檀紙」(だんし)を運営しています。医療施設と連携した施設型介護サービスを展開しており、従業員43名のうち、大半が介護福祉士か看護師の資格を持っています。利用者ご家族の口コミで利用者が増加傾向にあり、現在は重度者の受け入れも行っているのが特徴です。

同社のシフト管理は、これまで紙による手作業で行っていました。従業員数が多いため、シフト作業だけで毎月延べ3日の時間を要していました。また、介護サービス実績記録については、表計算ソフトを利用していました。ファイルで日報、実績表などを作成し、それぞれの情報を演算式で連動できるようにしていましたが、セルを更新して計算式を消してしまうというミスが発生。都度、その点検・やり直しに時間がかかってしまうなど、経営者にも従業員にも不安のある体制でした。

同社はIT導入補助金を活用し、地元のソフトウェア設計・開発会社に依頼してクラウドサービスを導入することにしました。このシステムでは、勤務シフト作成、介護サービス実績、勤務実績などの情報を一元管理することができます。介護保険申請や加算要件の確認などの情報も活用できます。

これまで手作業で行っていたシフト作成をシステムが自動作成してくれるので、細かい調整だけで済むようになりました。以前までの操作ミスによる不安もなくなり、書類作成の時間が大幅に削減されたことで、現場サービスに集中できるようになったそうです。

ITツール活用で業務を効率化し、人手不足の解消を

働き方改革関連法が順次、施行される中で、企業には働き方改革への対応が迫られています。人材や資金面などに制限がある中小企業にとっては、課題も多く、なかなか積極的な取り組みに踏み出せないケースもあるようです。

そんな中で、国の補助金を活用したIT化の取り組みなどにより、人手不足を解消したり、業務効率化を図ったりしている中小企業の事例をご紹介しました。介護や接客業といったマンパワーが不可欠な職場でも、ITツールを活用することで、業務改善が実現し、結果として人手不足の解消へとつながっています。

現在の職場の業務課題を改めて見つめ直し、業務効率化をきっかけに働き方改革への取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

この記事の情報は2020年03月11日のものです

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