名刺管理で見なおす働き方改革

働き方改革とは|目的や背景、ガイドラインの内容を分かりやすく解説

投稿日:  最終更新日: 2020年03月03日
近年、国を挙げて取り組まれているのが「働き方改革」です。大企業だけではなく、2020年4月には中小企業を対象とした法規制も始まるなど、その実現に向けた動きは着実に進んでいます。 こうした法整備の進捗に合わせて、各企業や担当部門はどのような観点のもと、具体的には何をすればよいのでしょうか?ここでは「働き方改革」のポイントについて、法規制やガイドラインをもとに分かりやすくご紹介します。

働き方改革とは|目的や背景、ガイドラインの内容を分かりやすく解説

働き方改革とは

働き方改革は、多様な働き方を選択できる社会の実現を目指す改革です。政府が掲げる「一億総活躍社会」の実現に向けた施策の1つで、労働制度の抜本改革を行い、企業文化や風土も含めて変えようとするものです。2016年9月に「働き方改革実現会議」初会合が開催され、合計10回の会合を通じて「働き方改革実行計画」が20173月にとりまとめられました。そして、20194月から「働き方改革関連法」が順次施行されています。

働き方改革が求められる背景

厚生労働省のサイトでは、働き方改革が求められるようになった社会背景として次の2つを挙げています。

  • 少子高齢化に伴う、生産年齢人口の減少
  • 育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化

1つずつ詳しく見てみましょう。

少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少

1つ目の「少子高齢化に伴う、生産年齢人口の減少」は、具体的には次の2点にまとめられます。

  • 生産年齢人口の減少…生産性の改善が必要
  • 高齢者人口の増加…高齢者の就業促進が必要

少子高齢化の進行により、日本の生産年齢人口(1565歳未満の人口)は1995年をピークに減少に転じています。

少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少

生産年齢人口と65歳以上人口は、次のように推移すると見込まれています。

  • 生産年齢人口:7,592万人→6,773万人→4,418万人
  • 65歳以上人口:3,342万人→3,685万人→3,464万人)
    (左から2015年→2030年→2060年の順)
14歳以下人口 生産年齢人口 65歳以上人口
2015年 1,586万人 7,592万人 3,342万人
2030年 1,204万人 6,773万人 3,685万人
2060年 791万人 4,418万人 3,464万人

2010年と比べると、2030年には生産年齢人口が約17%減、2060年には約42%減になってしまいます。また、65歳以上の人口は2060年になっても減ることはありません。

育児や介護との両立など働く方のニーズの多様化

2つ目の「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」は、夫婦の共働きや核家族化が進み、家族の形が変わってきていることが背景になっています。

例えば40歳代の団塊ジュニアでは、30歳代に生まれた子どもが未就学のときに、並行して親の介護が始まるケースが起きています。家庭内での役割分担のあり方が多様化し、男性の家事や育児への参画、介護に主体的にかかわる時代が到来していることは、多くの人が実感していることでしょう。

内閣府の『「働き方の改革」分科会における議論の整理(中間報告案)』でも、働く人の生活スタイルや仕事へのかかわり方の多様化について触れており、こうしたライフスタイルの変化に伴うニーズも、働き方改革の背景となっています。

働き方改革の目的

働き方改革は、働く方・企業・国の3者にとって以下のような目的があり、それぞれにメリットが生まれます。

  • 働く方:ライフプランの充実
  • 企業:労働力の確保と生産性向上
  • 国:労働者の増加に伴う税収増

これらの目的が達成されれば、それぞれがさらなるメリットを求めて改革が進み、さらに好循環が生まれると期待できます。

働く方:ライフプランの充実

働く方一人ひとりにとっては、仕事と家庭とを両立できるようなライフプランが充実することが目的です。このためには「ワークライフバランス」がキーワードとなります。

ワークライフバランスとは、「労働者が仕事上の責任を果たしつつ、結婚や育児をはじめとする家族形成のほか、介護やキャリア形成、地域活動への参加等、個人や家族のライフステージに応じた多様な希望の実現を可能とすること」[内閣府『「働き方の改革」分科会における議論の整理(中間報告案)』]です。

企業:労働力の確保と生産性向上

企業にとっては、現在、不足している労働力を安定的に確保し、さらに生産性を向上させることが目的です。

労働力の確保のためには、女性や高齢者など、現在は働いていないけれど、働きたいという気持ちを持っている人たちを労働市場に取り込むことが必要になります。さらに、離職率を下げて労働力の流出を防ぐため、待遇改善や労働者の就業満足度の向上など「魅力ある職場づくり」も必要となります。

そのほか、労働者の人数不足をカバーするために、生産力を向上させることも必要となります。少ない労働力でも多くの価値を生むことができれば、人手不足の改善・解消につながります。

国:労働者の増加に伴う税収増

国にとっては、労働者を増加させることで税収を増やすことが目的です。想定できる税としては次の3つが挙げられます。

  • 所得税(納税者が増えることで増収)
  • 消費税(個人の消費が刺激されることで増収)
  • 法人税(企業の業績が向上することで増収)

働き方改革の3つの柱とガイドライン

働き方改革は、数多くの取り組みから成りますが、大きく分けて3つの柱があります。

  • 長時間労働の是正(ワークライフバランスの確保)
  • 正規・非正規の不合理な処遇差の解消(同一労働同一賃金)
  • 単線型キャリアパスの改革(ライフステージに合った多様な働き方)

これらの実現のため、具体的な法規制やガイドラインが策定されています。

次項で3つの柱のポイントを見てみましょう。

長時間労働の是正(ワークライフバランスの確保)

長時間労働を是正してワークライフバランスを確保することで、次のメリットが生まれます。

  • 女性がキャリア形成しやすくなる
  • 高齢者が仕事に就きやすくなる(短時間労働者として労働参加)

これにより、さまざまな年代の労働参加率の向上につながり、単位時間(マンアワー)当たりの労働生産性向上につながることも期待されています。

正規・非正規の不合理な処遇差の解消(同一労働同一賃金)

同じ業務内容や職務にもかかわらず存在している、正規雇用と非正規雇用の不合理な待遇差を埋めていけば、次のような順序で効果が生まれます。

  1. 自分の能力を評価されている納得感が醸成
  2. 労働者が働くモチベーションが誘引
  3. 労働生産性が向上

企業にとっては、労働者の定着率が改善され、さらには労働生産性も向上してプラスとなります。

単線型キャリアパスの改革(ライフステージに合った多様な働き方)

これまでの日本の労働環境は、新卒採用・終身雇用で1つの会社や職種で働く「単線型キャリアパス」でした。柔軟な労働市場や企業慣行が確立されれば、次のようなメリットが生まれます。

  • 働く人が自分に合った働き方を選択して、自らキャリアを設計可能
  • 付加価値の高い産業への転職・再就職を通じて、国全体の生産性向上にも寄与

厚生労働省は柔軟な働き方の環境整備として、テレワークや副業・兼業について議論してきました。また、付加価値の高い産業への転職・再就職支援として、新卒者以外の採用機会の拡大にも取り組んでいます。

blankblank

働き方改革関連法の8つの項目を分かりやすく解説

働き方改革関連法の8つの項目を分かりやすく解説

「働き方改革関連法」は、働き方改革を推進するための8つの労働法改正の総称です。20194月から順次、施行されました。

各法律は働き方改革を、より確実に実現するための仕組みと言えますが、改正内容のポイントとなる項目には次の8つがあります。

  • 「年次有給休暇」(有給)の5日間取得の義務化
  • 残業時間の「罰則付き上限規制」
  • 「同一労働・同一賃金の原則」の適用
  • 「産業医」の機能を強化(事業主の労働時間把握義務含む)
  • 「割増賃金率」の中小企業猶予措置廃止
  • 「勤務間インターバル制度」の努力義務
  • 3か月のフレックスタイム制」が可能に
  • 「高度プロフェッショナル制度」の創設

以下に、それぞれの施行スケジュールと施行内容についてご紹介します。

「年次有給休暇」(有給)の5日間取得の義務化

《施行スケジュール》
大企業:201941日~
中小企業:201941日~

《内容》
年次有給休暇が10日以上付与される人には、年間最低5日は取得させる義務が生じます。トータルの年間取得日数が5日に満たない人に対しては、本人の希望を聞いた上で企業側(労務担当者や人事担当者など)が最低合計5日になるまで取得日を指定する必要があります。

また、労働者ごとに「年次有給休暇管理簿」を作成・保管(3年間)することが義務付けられます。指定の書式はありませんが、次の事項の記載が必要となります。

  • 有給休暇の「基準日」(一般に入社日から6か月後)
  • 有給休暇の「日数」(取得日数)
  • 有給休暇の「時季」(実際に取得した日付)

仮に上記の内容を守れなかった場合、罰則が科されることもあります。

  • 5日の年次有給休暇を取得させなかった場合:30万円以下の罰金
  • 使用者による時季指定を行う場合において、就業規則に記載していない場合:30万円以下の罰金
  • 労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合:6か月以下の懲役または30万円以下の罰金

2018年12月の国際調査において、日本の有給休暇取得率は世界主要19か国の中で19位と最下位でした。日本の有給休暇の取得率は50%と低い水準。このような取得率の低さが背景となっています。

残業時間の「罰則付き上限規制」

《施行スケジュール》
大企業:201941日~
中小企業:202041日~

《内容》
残業時間(時間外労働)の上限が、法律によって下記のように定められました。

・原則、月45時間
・原則、年360時間

臨時的な特別な事情がある時には、これを上回ることができますが、月45時間を超えることができるのは、年間6か月までです。また、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、以下3つの基準を超えることはできません。

  • 720時間以内
  • 複数月平均80時間以内(2か月・3か月・4か月・5か月・6か月の平均全て。休日労働含む)
  • 月100時間未満(休日労働含む)

これまで、残業時間の上限は、いわゆる36協定による労使協定で定められてはいたものの、違反した場合でも企業への行政指導のみで、法律上の上限規定はありませんでした。今回、罰則付きの上限規制ができたことで、規定の上限を超える残業はできなくなります。違反企業には、下記のような罰則が科せられる恐れがあります。

  • 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
  • 程度によっては、社名を公表され社会的制裁を受ける恐れもあり

「同一労働・同一賃金の原則」の適用

《施行スケジュール》
大企業:202041日~
中小企業:202141日~

《内容》
非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)と正社員との間に、不合理な待遇差をつけることが禁止されます。なお、同等の取り扱いのもとで能力や経験に差がある場合は、待遇差があっても問題ありません。

あらゆる待遇が対象となり、主に次のような待遇差があります

  • 給与(基本給、昇給、ボーナス)
  • 各種手当(通勤手当、役職手当、特殊手当、精皆勤手当、食事手当など)
  • 福利厚生施設の利用(食堂、休憩スペース、更衣室など)
  • 慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保障
  • 教育訓練

派遣労働者の場合、派遣会社内で条件をそろえる「労使協定方式」と、派遣先企業の条件に合わせる「派遣先均等・均衡方式」があります。派遣会社が「派遣先均等・均衡方式」を採用する場合は、以下の協力義務が生じます。

  • 派遣社員1人ごとに、比較モデルとなる直接雇用の社員を選定
  • 比較モデルの賃金など、待遇情報と判断基準を派遣元へ提供

「産業医」の機能を強化(事業主の労働時間把握義務含む)

《施行スケジュール》
大企業:201941日~
中小企業:201941日~

《内容》
労働安全衛生法で、労働者が50人以上いる会社は産業医を選任する義務があります。さらに今回、企業に以下の義務が追加されました。

  • 客観的な方法(タイムカード、使用者による現認など)による全労働者の労働時間の把握・記録
  • 産業医への情報提供の強化
  • 産業医の勧告により行った対応措置の記録・保存

働く人の中には、長時間労働やメンタルの不調などによって過労死するリスクがある環境に置かれている人もいます。そうした労働者に対して、産業医による面接指導や健康相談などが確実に実施されるようにし、企業における労働者の健康管理を強化することが目的です。

「割増賃金率」の中小企業猶予措置廃止

《施行スケジュール》
大企業:201041日~
中小企業:202341日~

《内容》
現在、月60時間を超えて残業した場合、超えた時間については割り増しした賃金が発生します。すでに大企業では適用されていますが、中小企業に対しては猶予されていました。この法定割増賃金の割増率が、全ての規模の企業に適用されます。旧制度との比較は以下の通りです。

  • 旧制度
    ~60時間:25%以上
    60時間~:25%以上
  • 猶予措置廃止後
    ~60時間:25%以上
    60時間~:50%以上

例えば1か月に70時間残業させた場合の残業分の割増賃金は、下の式のように60時間までは25%増、それを超える10時間は50%増で計算します(日勤の場合)。

【1時間当たりの賃金×60時間×1.25+1時間当たりの賃金×10時間×1.5】

「勤務間インターバル制度」の努力義務

《施行スケジュール》
大企業:201941日~
中小企業:201941日~

《内容》
終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間のインターバルを設定することが企業の努力義務として規定されました。

具体的な対策としては、次のような例が挙げられます。

  • 残業で遅くなった場合、翌日の出勤時間を遅くする
  • ある時刻以降の残業を禁止し、次の始業時刻以前の勤務を認めない
  • 交代制シフトの時間設定を調整する

交代制のシフト勤務などの場合、十分な休息を取れずに次のシフトの時間になってしまうことがあります。そういったリスクを改善することが目的の1つです。

3か月のフレックスタイム制」が可能に

《施行スケジュール》
大企業:201941日~
中小企業:201941日~

《内容》
フレックスタイム制の清算期間の上限が法改正によって1か月から3か月になりました。これにより、柔軟な労働時間の調整が可能です。企業としては、清算期間が延長されたことで割増賃金の支払いが不要となるケースが出てきます。3か月以内に、所定労働時間に満たない月があって相殺できる場合です。働く人にとっては、繁忙期や閑散期といった業務の都合に合わせて労働時間を調整して、子育てや資格取得、趣味にかける時間を都合に応じて作ることもできます。

「高度プロフェッショナル制度」の創設

《施行スケジュール》
大企業:201941日~
中小企業:201941日~

《内容》
高度プロフェッショナル制度は、仕事の成果を労働時間に関係なく評価する概念の制度です。特定の条件を満たす労働者だけが対象となり、本人の同意をはじめ、健康管理や労使間で取り決めた措置の実施など定められた条件のもと、労働時間規制や割増賃金支払の対象外とする新たな枠組みができました。

2020年1月現在、対象とされている労働者の条件は次の通りです。

  • 対象業務
    金融商品の開発、金融商品のディーリング、アナリスト、コンサルタント、研究開発など
  • 年収1,075万円以上
  • その他の主な条件
    1.職務の内容が明確に決まっていること
    2.労使委員会の5分の4以上の多数決議
    3.本人の同意
    ※ほかにも、休日や健康管理などに関する措置の条件あり。

自社に必要な「働き方改革関連法」対策を進めよう

国が推し進める「働き方改革関連法」に対しては、企業規模や業種による違いこそありますが、いずれの企業においても、法令順守ならびに働く環境の改善・整備が求められていることに変わりはありません。

ここでは、その全体像とポイントをご紹介してきましたが、すでに規制が開始されている項目をはじめ、20204月から中小企業が対象の規制もあるため、万一、違反してしまった場合でも「知らなかった…」では済まされません。ぜひこの機会に社内の働き方改革への対応について考えてみてください。

この記事の情報は2020年03月03日のものです
blank blank

名刺管理の関連資料

名刺管理を行う上で役に立つ資料を用意しております。ぜひダウンロードしてご活用ください。

blank

名刺管理アプリ・ソフト
の比較資料

blank

名刺管理エクセル
テンプレート

blank

名刺管理ノウハウ集

blank

3分で分かるSansan

↑