名刺管理で見なおす働き方改革

【中小企業は2021年4月適用】非正規雇用の待遇差はNG!「パートタイム・有期雇用労働法」のポイント|中小企業の働き方改革

投稿日:  最終更新日: 2020年03月03日
現在、国が推し進めている働き方改革は、多様な働き方を選択できる社会の実現を目指す改革です。労働制度の抜本改革を行い、企業文化や風土も含めて変えようとするものです。 具体的に働き方改革関連法案として法整備やガイドライン指針が打ち出される中で、正規・非正規の待遇差を改善する「パートタイム・有期雇用労働法」が2020年4月に施行され、1年間の猶予期間が設けられている中小企業も2021年4月から適用となります。 そこで今回は、正規・非正規の雇用形態を問わず同一労働同一賃金について規定した同法案について、概要とポイントを解説します。

非正規雇用の待遇差はNG!「パートタイム・有期雇用労働法」のポイント

パートタイム・有期雇用労働法(旧パートタイム労働法)とは

「パートタイム・有期雇用労働法」は、同一労働同一賃金(雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保)の実現を目指して成立した働き方改革関連法案のひとつです。正規・非正規の間の賃金や待遇格差の解消について、具体的な法規制を行う目的で法案化されました。

同法は202041日に施行され、まずは大企業が対象となります。中小企業に対しては、1年の猶予期間を置いて202141日から適用されます。

もともと、パートタイムなど短時間労働者に関する規制は「パートタイム労働法」によって定められおり、主に以下の点を規定していました。

  • パートタイム労働者の待遇などについての問題を解消
  • 雇用環境の整備
  • その働きや貢献に応じた待遇を得ることのできる「公正な待遇の実現」

「パートタイム・有期雇用労働法」は、この「パートタイム労働法」の内容を改正し、さらに対象範囲をパートタイム労働者だけでなく有期雇用労働者にも広げたものです。

パートタイム・有期雇用労働法のポイント

厚生労働省が公表しているリーフレット「パートタイム・有期雇用労働法が施行されます」によれば、「パートタイム・有期雇用労働法」施行の目的は、「同一企業内における正社員(無期雇用フルタイム労働者)とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間の不合理な待遇の差をなくし、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得して働き続けることができるよう」にすることにあります。

具体的には、次の3点が規定されています。

  • 不合理な待遇差の禁止
  • 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
  • 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続きの整備

それぞれ次項から詳しく見てみましょう。

正社員と非正規社員との間での不合理な待遇差の禁止

同じ企業で同じ業務をしている正社員と非正規社員との間での不合理な待遇差の禁止は、具体的に次の2つの内容から成ります。

  • 基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることの禁止
  • 裁判の際に判断基準となる「均衡待遇規定」「均等待遇規定」を法律に整備

あらゆる待遇についての不合理な待遇差の禁止

同法は正規・非正規の間の待遇差に関する規定のため、次に挙げるような待遇差については法律の対象とはなりません。

・ほかの企業の労働者との待遇差(同じ業種・職種でも対象外)
・総合職、限定正社員など異なる正社員間の待遇差

「パートタイム・有期雇用労働法」は、あくまで同一企業内における正社員と非正規社員の間での待遇差を禁止するものです。比較するのは「同じ企業内」の正社員と非正規社員です。

均衡待遇規定」と「均等待遇規定」

裁判の際に判断基準となる「均衡待遇規定」と「均等待遇規定」は、具体的には次のような内容です。

【均衡待遇規定】第8条(不合理な待遇差の禁止)
「均衡待遇」とは、業務内容などに違いがある場合に、違いに応じてバランスの取れた待遇にすることを指します。違いがあれば違いに応じた賃金支払いなどを行い、不合理な待遇差をつけることは禁止されています。

待遇差がある場合、具体的には次の3つの内容を考慮して合理的かどうか判断します。

  • 職務内容(業務の内容と責任の程度)
  • 職務内容・配置の変更の範囲(人事異動や役割の変更の有無)
  • その他の事情

【均等待遇規定】第9条(差別的取り扱いの禁止)
「均等待遇」とは、業務内容が同じである場合に、賃金などの待遇を同じにすることを指します。雇用形態によって待遇差をつけるような差別的な取り扱いは禁止されています。

具体的には、次の2つが同じ場合に差別的な取り扱いをすることを禁止するものです。

  • 職務内容(業務の内容と責任の程度)
  • 職務内容・配置の変更の範囲(人事異動や役割の変更の有無)

行政による事業主への助言・指導などや裁判外紛争解決手続きの整備

「パートタイム・有期雇用労働法」では、行政による助言や指導、行政ADR(裁判外紛争解決手続)の規定について、パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者で統一して整備されるようになりました。

行政による助言や指導は、労働関係についての個別労働者と事業主間の紛争について、都道府県労働局長による助言・指導を受けられるものです。紛争の問題点を指摘して、解決の方向性を示して紛争の当事者について話し合いによる解決を促すものです。

行政ADRとは、事業主と労働者との間の紛争を裁判をせずに解決する手続きのことを言います。各都道府県労働局での紛争調整委員会で、無料・非公開で行われる「調停」により、紛争の解決を図ることができます。調停委員は、弁護士、大学教授、家庭裁判所家事調停委員、社会保険労務士などの労働問題の専門家からなり、公平性と中立性を担保しています。

調停の対象は、紛争をはじめ、均衡待遇、待遇差の内容や理由に関する説明も対象となりました。あっせんの申し立て(申請)は、事業主・労働者のいずれからも行うことができます。また、調停案について労使双方の合意が成立した場合には、民法上の「和解」とみなされます。

待遇差を適正に説明するためのポイント

待遇差を適正に説明するためのポイント

非正規社員(パートタイム労働者や有期雇用労働者)は、正社員との間に待遇差がある場合、その内容や理由について企業へ説明を求めることができ、企業には説明義務が生じます。

その際、待遇差を比較する正社員はどのように決めれば良いのか、どのような内容について説明すれば良いのか、どのような説明方法を用いれば良いのかなど、説明義務のポイントについて詳しく見ていきましょう。

待遇を比較する「通常の労働者」とは?

「パートタイム・有期雇用労働法」では、「通常の労働者」と非正規社員との間の不合理な待遇差を禁止しています。ここで言う「通常の労働者」とは、同じ企業に雇用されている正社員(無期雇用フルタイム労働者)で、期間の定めのない労働契約を結んでいる労働者がこれに当たります。

「通常の労働者」となる正社員には、総合職・一般職、限定正社員などの雇用区分がありますが、すべての「通常の労働者」と非正規社員の間で不合理な待遇差を解消する必要があります。

企業が取り組むべき「均衡待遇」の確保への対応

企業において、正規・非正規の間の処遇差の改善や、適正な待遇差を説明するためには、次の点を確認して、もし不合理な待遇差があれば改善を検討する必要があります。

  1. 自社における「通常の労働者」の確認
  2. パートタイム・有期雇用労働者の有無の確認
  3. 通常の労働者との待遇差の確認
  4. 待遇差があれば、その内容や理由の確認
  5. 不合理があれば待遇の改善を検討・実施

どのような内容か、順番に見てみましょう。

.自社における「通常の労働者」の確認

前項でも見たように、正社員(無期雇用フルタイム労働者)が、待遇差の比較対象となる労働者です。正社員と比較して、1週間当たりの所定労働時間が短い労働者を雇っている場合などがこれにあたります。

2.パートタイム・有期雇用労働者の有無の確認

自社にパートタイムやアルバイト(短時間労働者)、有期雇用労働者がいるかどうかを確認します。

3.通常の労働者との待遇差の有無の確認

パートタイムやアルバイト(短時間労働者)、有期雇用労働者の区分ごとに、次のような待遇に差がないか確認します。
・基本給
・賞与
・役職手当
・食事手当
・教育訓練
・その他の福利厚生

4.待遇差があれば、その内容や理由の確認

もし、待遇差があれば、その内容と理由を確認します。違いがあること自体は問題ではありません。その違いが働き方や役割に見合った「不合理ではない」ものかどうかを確認するため、待遇ごとにその理由を整理します。

待遇差が「パートタイムだから」、「将来の役割への期待が異なるため」といった主観的・抽象的な理由から生じている場合は改善対象となります。

5.不合理があれば待遇の改善を検討・実施

「不合理ではない」とは言えない状況がある場合は、法律違反が疑われる状態にあると考えられます。行政や専門家などへ相談して改善に向けて検討を始めましょう。

待遇差がある場合の説明内容

もし、正規・非正規に待遇差がある場合は、企業はどのようにその内容と理由を説明をすれば良いでしょうか?少し詳しく見てみましょう。

【待遇差の内容】

具体的には次の2点を説明しなければなりません。

  • 比較対象となる正社員との間で、待遇に関する基準(賃金表など)に違いがあるかどうか
  • 比較対象となる正社員と、パートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇について、個別の具体的な内容または待遇に関する基準(賃金表など)

【待遇差の理由】

比較対象となる正社員と、パートタイム労働者・有期雇用労働者の待遇差について、待遇差を設けている理由を説明します。

その時、次の事項のうち、待遇の性質・目的に照らして適切と認められるものに基づいて説明します。

  • 職務の内容
  • 職務の内容・配置の変更の範囲
  • その他の事情(成果・能力・経験など)

例:能力レベルが異なるために基本給の額の差が発生

【説明方法】

説明する際は、次のいずれかの方法で行います。

  • 就業規則や賃金表、通常の労働者の待遇を記載した資料などを活用しながら、口頭で説明する
  • 説明すべき事項がすべて記載され、なおかつ容易に理解できる資料を交付する

自社の待遇差を確認したり、待遇差の説明書類を作成したりする際には、厚生労働省が発表している「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(業界別マニュアル)」を活用することもできます。点検や検討手順を確認できるワークシート、賃金比較ツール、待遇差の説明書モデルなども提供されています。

◆厚生労働省|不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(業界別マニュアル)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03984.html

自社の待遇差について確認し、待遇差がある場合は計画的な取り組みを

「パートタイム・有期雇用労働法」への対応は、非正規社員を雇用している企業にとっては不可欠のものです。中小企業には20214月から適用されるため、まだ対応準備を進めていない場合は、早急に対応に取り組み必要があります。

行政や専門家による支援をうまく活用しながら、計画的な準備を今すぐ実施することをおすすめします。

 

この記事の情報は2020年03月03日のものです

名刺管理の関連資料

名刺管理を行う上で役に立つ資料を用意しております。ぜひダウンロードしてご活用ください。

名刺管理アプリ・ソフト
の比較資料

名刺管理エクセル
テンプレート

名刺管理ノウハウ集

3分で分かるSansan

↑