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解禁された副業・兼業のガイドラインと企業での導入実態|中小企業の働き方改革

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近年、国を挙げて「働き方改革」への取り組みが推進されています。働き方改革関連法が2019年4月から順次、施行され、1年間の猶予期間が設けられていた中小企業への適用が2020年4月に始まるなど、具体的な取り組みは加速しています。こうした動きに先行して2018年は「副業元年」と言われ、会社員の「副業・兼業」が解禁になったことがメディアでも話題となりました。 今回は、「副業・兼業」が解禁された社会的な背景と実態、企業が「副業・兼業」を解禁する際にどのようなポイントがあるのかをまとめました。

解禁された副業・兼業のガイドラインと企業での導入実態

副業・兼業がおすすめされる背景

国が推し進める働き方改革の施策の中には、柔軟な働き方を促進する取り組みとして副業・兼業の普及促進があります。20181月、厚生労働省は次のような施策を行い、多くの企業が禁止していた副業・兼業を容認する動きを促進させました。

  • 有識者による検討会を設置し「副業・兼業ガイドライン」をまとめる
  • 最新の法令に対応した厚生労働省発表の「モデル就業規則」を改定する

以来、数年が経過し、徐々に副業・兼業をする会社員も増え始めるとともに、企業の中には積極的な推奨とまではいかずとも、副業・兼業を公に容認するというケースも出ています。

その一方で、副業・兼業の解禁には法的規制があるわけではないため、消極的な企業からは、自社の本業がおろそかになること、情報漏洩のリスク、競合企業の仕事をすることでの不利益発生の不安などの声が発信され、導入を見送っている企業が多数派というのが実態です。

副業・兼業をする会社員にとっては、本業で不足している収入の確保をはじめ、自身のスキルアップ、終身雇用が見込めない社会情勢の中でのキャリア形成など、多くのメリットがあると受け止められています。また、国が副業・兼業の解禁を促進させる目的には、柔軟な働き方を実現することのほかに、人材の流動化や人手不足の解消、起業の促進などがあり、日本経済の活性化が最終目標です。

そのため、今後、働き方改革関連法の施行など、労働環境の改革が具現化される中で、より踏み込んだ副業・兼業に関する施策が打ち出される可能性があります。

こうした将来の方向性を視野に入れた上で、現在、国が示している「副業・兼業ガイドライン」のポイント、企業における導入方法や課題について整理しておくことは、ビジネスキーマンにとって欠かせない視点と言えるでしょう。

いつから解禁? 「副業元年」と呼ばれた2018年からの導入実態

現在、副業・兼業自体に関する法的な規制はありません。2018年までは厚生労働省が公表している「モデル就業規則」で、労働者の遵守事項として「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」と記されていました。

しかし、前項で触れたように20181月版で、次のような変更が加えられました。

  • 「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という項目が削除される
  • 副業・兼業についての規定が新設される

これらの変更により、実質的に副業・兼業は解禁、推奨されることとなり、2018年は「副業元年」と呼ばれるようになりました。合わせて、副業・兼業の促進に関するガイドラインも発表し、副業は柔軟な働き方を実現することやオープンイノベーション、起業の活性化にもつながるという報告を発表しました。

実際にすでに導入している企業の中には、副業で得た知識やノウハウが本業に活かされたり、自社の技術革新につながったりするのではないかという期待を抱き、副業・兼業を希望する社員にさまざまなサポートをするところも出ています。

また、都市部の人材を地方で活かすという観点から、地方創生にもつながるという面でも期待されているのです。

副業・兼業が解禁されることのメリット

副業・兼業の解禁は、労働者(会社員、パートタイム、アルバイト、契約社員、派遣社員など)にとっても企業にとっても、さまざまなメリットがあります。

労働者から見た副業・兼業解禁のメリット

  • 本業以外の所得を増やすことができる
  • 離職しなくても別の仕事をすることができるため、スキルアップや新たな経験を得るなど、主体的にキャリア形成できる
  • 本業を続けながら将来の起業・転職に向けた準備・試行ができる
  • 本業の所得を活かして自分がやりたいことに挑戦し、自己実現の追求ができる

企業から見た副業・兼業解禁のメリット

  • 労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得できる
  • 労働者が社外から新たな知識・情報・人脈を入手し、企業にとっての事業機会も拡大する
  • 労働者の自律性・自主性を促すことで、組織が活性化される
  • 優秀な人材獲得や人材流出の防止ができ、競争力が向上する

このように、労働者にとっても企業にとっても、副業・兼業により新たな知見を得られるという大きなメリットがあると考えられます。柔軟な働き方を認めることで、自社にはいない、知識や経験、技術、情報を持った多様な人材を獲得することも可能です。

副業・兼業解禁に対する企業と労働者の意識実態

会社員の副業・兼業の解禁は、まだ新しい取り組みで法的な規定があるわけでもないため、環境整備、心理的な不安といった課題があります。導入に消極的な企業は戸惑いを感じていることが調査データでも明らかになっています。

副業・兼業の解禁に関する調査データをもとに、実態について詳しく見てみましょう。

本業への懸念や過重労働を懸念する企業

2018年時点での日本企業の副業・兼業に対する意識は、解禁を促進する国の動きとは真逆となっていました。

企業の人材戦略支援事業を行うリクルートキャリアが行った「兼業・副業に対する企業の意識調査」の結果(20181012日発表)によると、副業・兼業を推進または容認している企業の割合は28.8%で、7割の企業が副業・兼業を禁止していたことがわかります。

また、経済産業省の委託事業として日本経済新聞が行った「働き方改革に関する企業の実態調査」の報告書(20173月発表)によると、副業・兼業を禁止している企業のうち36.9%が、一定の懸念が解消されれば解禁を検討すると回答しています。

その懸念とは次に挙げるものです。

  • 本業がおろそかにならないこと(2%)
  • 情報漏洩のリスクがないこと(2%)
  • 競業・利益相反でないこと(5%)
  • 長時間労働につながらないこと(1%)

これらを見ると、副業・兼業に対する懸念は複数あることがうかがえます。特に過重労働への懸念は大きく、複数の仕事を兼業することにより、本業がおろそかになったり、長時間労働を招いたりしないかが不安視されています。

また、関東経済産業局の支援事業により株式会社学情・株式会社パーソル総合研究所が行った「兼業・副業による人材の受け入れニーズ調査報告書」(2018年度)によると、副業・兼業を受け入れる側の企業にとっての課題も示されています。

【副業・兼業を受け入れる懸念点(大企業)】
・労働時間、給与管理など法務管理上の問題(8%
・労務管理など事務管理が煩雑になる(8%
・業務上の秘密を保持したい(9%

【副業・兼業を受け入れる懸念点(中小企業)】
・業務上の秘密を保持したい(9%
・労務管理など事務管理が煩雑になる(7%
・労働時間、給与管理など法務管理上の問題(3%

特に中小企業では、大企業と比較した際、「企業秩序を乱す」(26.1%)、「どういう人材がくるかわからない」(20.4%)という回答が際立っており、副業・兼業の具体的なイメージがつかないことからくる不安感が強いことが明らかになりました。

副業を希望する会社員は9

次に、労働者視点の調査結果を見てみましょう。

株式会社BLAMが行った「ビジネスマンの副業に関する実態調査」の結果(2020123日発表)によると、副業・兼業の解禁に消極的な企業が多数派の中で、多くの会社員が副業を希望しているという結果が出ています。

ビジネスマン100名を対象としたアンケートの結果、92%が副業をしたい、と考えていることがわかりました。さらに、すでに副業を経験しているという人は57%という数値になりました。

副業を希望する理由としては次のようなものがあります。

  • 収入を増やしたい
  • スキルアップにつなげたい
  • 趣味や生きがいにしたい
  • 人脈を形成したい
  • 力試しをしたい

自らのスキルを試したり、新たな能力を身につけたり、さまざまな理由から1つの企業にとらわれない働き方を望んでいるビジネスマンが増えていることがうかがえます。

また、副業禁止の会社には所属したくないと回答した人は88%にのぼり、副業・兼業の解禁に対する意識の浸透が労働者にも広がっていることがわかります。

本来、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは「労働者の自由」となっています。それが企業活動に支障をきたすようなものであればもちろん禁止する理由にはなりますが、現在は柔軟な働き方を求める傾向が高くなっています。

そういった観点から考えても、自社の人材や外部の人材を問わず、その能力を企業の競争力向上に活かすという手段をとることは、今後の企業成長につながっていくのかもしれません。

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」から見る企業・労働者の対応ポイント

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」から見る企業・労働者の対応ポイント

企業が、人材獲得の面からも、競争力強化の面からも、副業・兼業を促進したほうがいいと判断した場合、どのように環境を整備すれば良いのでしょうか?副業・兼業を解禁し、自社に効果的な導入を図るためには、まずは国の示すガイドラインを参考にすると良いでしょう。

導入にあたってのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

企業が副業・兼業を解禁する際のポイント

まず、副業・兼業を認めるにあたっては、その範囲や手続きなどについて各企業の状況を踏まえながら、自社の実情に合わせた検討を行うことが重要となります。

例えば、次に挙げるような検討事項があります。

  • どのような形態の副業・兼業を認めるか(業務内容、就業日、就業時間・時間帯・場所・期間、対象者の範囲など)
  • 副業・兼業を行う際の手続き方法(上司や人事担当者による事前承認・事後の届けの有無など)
  • 副業・兼業の状況を把握するための仕組み
  • 副業・兼業の内容を変更する場合の手続き方法

特に、従業員の健康管理に関しては健康被害を防止する措置の検討が必要です。副業・兼業者の長時間労働や不規則な労働による健康障害が心配されるためです。自社と副業・兼業先それぞれでの就業との兼ね合いの中で、時間外・休日労働の免除や抑制を行うなどの柔軟な措置をとることが望ましいと国は示しています。

また、従業員から副業・兼業の申し出があった場合には次の内容を確認すると良いでしょう。

  • その副業・兼業が競業にあたらないか
  • いつ、どこで副業・兼業を行うのか
  • どの程度の就業時間、業務量になるのか

ただし、これらを確認する際には必要以上の情報を求めるようなことがないように留意しなければなりません。

また、内容を確認し、現在の業務に支障がない場合には副業・兼業を認め、同時に企業と労働者はコミュニケーションを密にし、過重労働の回避や健康管理を行うことが必要です。

会社員が副業・兼業を始めるときのポイント

労働者が、収入アップや自己研鑽の目的で副業・兼業を始めたいと思った場合、次のような内容を確認する必要があります。

  1. 企業内のルールの確認
    自社の就業規則や自らの労働契約の内容を確認し、副業・兼業が認められているのかどうか、認められている場合にはどのような手続きが必要になるのかを確認しましょう。
  2. 副業・兼業内容の検討
    副業・兼業は能力の活用やスキルアップなどのメリットがあります。しかし、過重労働や不規則な労働時間により、健康を害してしまう恐れもあります。そのため、その業務内容が兼業・副業として適切であるかどうかを健康管理の面からも検討する必要があります。
  3. 上司や人事担当者との話し合い
    円滑に副業・兼業を行うために、事前に上司や人事担当者と十分に話し合っておきましょう。

実際に副業・兼業を始めた後は、次のような内容を逐次、確認するようにしましょう。

  1. 就業時間や健康の管理
    自らの始業・終業時刻、休憩時間、勤務時間、健康診断などの記録をつけるなどして、就業時間や健康の管理に努めましょう。
  2. 現在の業務と副業・兼業の両立ができているか
    必然的に仕事量が増えることになるため、現在の業務と副業・兼業の業務量、就業時間、進捗状況などを確認し、両立が難しいと感じた場合には継続するかどうかの検討が必要です。
  3. 確定申告の確認
    副業・兼業を行い、年間20万円を超える収入がある場合には確定申告が必要となります。詳しくは国税庁のホームページをご参照ください。
    ◆国税庁|所得税の確定申告
    http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei.htm

それぞれの状況に応じた副業・兼業の推進を

企業が副業・兼業を推進することは、自社の人材のスキルアップや外部の豊かな人材の獲得につながることでもあります。競争力が求められる時代だからこそ、柔軟な働き方を実現し、新たな戦力を得ることが企業の発展にもつながります。

もっとも業種や業務内容によっては、副業・兼業の解禁が不可能というケースもあります。それぞれの企業の状況にふさわしい検討を行い、社会から求められる対応を図っていくことが大切です。

この記事の情報は2020年03月09日のものです

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