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テレワークで仕事はどう変わる?オンライン化できる業務とテレワーク導入手順のポイント
テレワーク導入後に従来のオフィスと変わらない職場環境をつくるには、各業務のIT化が必須になります。業務をオンライン化することで、コスト削減や生産性向上につながる可能性もあります。
オンラインの新しい働き方にどのように対応すると良いのか、次項から見ていきましょう。
テレワーク成功の秘訣は、ルール策定がポイント
テレワークでは、従業員が通常勤務と異なる環境で就業することになります。
労働時間や業務の管理方法などについてテレワークに必要なポイントを押さえた上で、既存の社内ルールや就業規則をアップデートして対応する必要があります。
テレワークの導入手順や運営体制、ルールづくりの詳細は、厚生労働省のガイドブックを参考にするのがおすすめです。
◆厚生労働省|テレワークではじめる働き方改革~テレワークの導入・運用ガイドブック
https://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category7/01_01.pdf
従業員と密なコミュニケーションが円滑な業務につながる
せっかくテレワークを導入しても、従業員間のコミュニケーションが円滑にとれないと、生産性を下げてしまう結果になりかねません。
オンライン上でも、オフィスと同様のコミュニケーションを図れるようになるのが理想です。導入時点ではコスト削減のためにも、Eメールやスマートフォンなど、現在使用中のツール継続を検討しましょう。
厚生労働省が平成26度年に発表した、テレワーク実施企業の従業員満足度に関する調査を見ると、ツールを介したことで気軽なコミュニケーションが生まれ、結果的に社員の満足度がアップした声があることがわかります。
出典:厚生労働省「平成26年度テレワークモデル実証事業」(従業員アンケート)
テレワークで使える便利なITツール・アプリ紹介(業務別)
自社の各業務に適したITツール・アプリを活用すれば、通常勤務と同じ業務をテレワークでも継続することができます。特に、クラウド型サービスはインターネット環境さえあれば、いつでも、どこでも、場所を選ばずに業務を行えるのがメリットです。
さらに、これまでの業務の見直し、デジタル化が推進されることで、ムダな業務や属人的な業務が可視化されて生産性を高めることにもつながります。削減された業務時間やコストは、自社のコア事業領域へ集中させる再配分を行うことで、新規事業開発や営業・マーケティング活動の強化を実現することも可能です。
ただ、実際にテレワーク導入を検討するとき、自社のどの業務を対象に、どのITツール・アプリを活用したら良いのか、迷ってしまう担当者も多いでしょう。
次項からは、コストとリソースを多くは割けない中小企業の担当者向けに、テレワークにおすすめの代表的なITツール・アプリをご紹介します。大きく分けて次のようなジャンルのITツール・アプリがあります。
- 労務管理ツール
- ペーパーレス化ツール
- ビジネスチャットツール
- WEB会議ツール
- クラウド名刺管理ツール
マネジメントの目が行き届かない不安を拭う「労務管理ツール」
テレワークでは、総務・人事部門や管理職が、労務管理をはじめ従業員に対するマネジメントを、どのように行うのかが課題のひとつです。オフィスのように互いに顔が見える場所にいないため、勤務時間や業務の進行状況の管理・把握が難しくなる傾向にあります。
そこで、労務管理ツールを活用すれば、勤務時間や業務進捗の可視化が可能となり、テレワークでも従業員の労務管理がしやすくなります。
労務管理ツール導入が、業務のココに効く!
労務管理ツールは、オンライン上で労務管理・業務管理ができるITツール・アプリです。従業員一人ひとりの勤怠や業務内容が可視化されるため、人事評価に活かすこともできます。
労務管理ツールのポイントは3つあります。
- 勤怠管理:出勤、訪問、休憩、移動、退勤の管理。GPS位置情報の把握も可能。
- 在席管理(プレゼンス管理):各従業員が在籍中か、話しかけても良い状態かをリアルタイムに表示。パソコンログの確認や作業パソコンの不定期画面キャプチャなどによる作業実態の把握も可能。
- 業務管理(プロジェクト管理):スケジュール共有、業務タスク・進捗管理、業務ファイル共有などが可能。
労務管理ツール選びのポイントは、基本的な機能である従業員の勤務時間(始業・終業・休憩)の打刻機能、スケジュール共有、さらに評価制度を含めた、プロジェクト管理・タスク管理まで幅広く行えるツールの導入が望ましいでしょう。
総合グループウェアとして定評のある『サイボウズOffice』
『サイボウズOffice』は、スケジュール、メッセージ、ファイル共有、ToDo管理などの機能を搭載し、メンバー間で情報共有できる多機能なグループウェアです。稟議書、交通費申請、休暇申請などの申請・決裁の電子化も可能で、全社的なテレワーク実施の際にもスムーズな社内申請処理が行えます。
ITツール・アプリ名 | サイボウズ(Office) |
提供企業 | サイボウズ株式会社 |
URL | https://www.cybozu.com/jp/ |
ITツール・アプリジャンル | 総合グループウェア製品。クラウド型とパッケージ型がある。 |
機能・特徴 | スケジュール管理/施設予約、メッセンジャー、掲示版、ファイル管理、ワークフロー管理、WEBメール、電話メモ、アドレス帳・ユーザ名簿、プロジェクト管理、ToDoリスト、タイムカードなどを多機能に利用できる。 |
利用形態/対応OS | パソコン、スマートフォンなどのブラウザのみで利用可。
Windows、MacOS、Android、iSOに対応。 |
価格(税別) | ・サイボウズOfficeクラウド:1人500円/月~ ・パッケージ10ユーザ版:63,800円~ |
紙文書を電子化して、業務を停滞させない「ペーパーレス化ツール」
ペーパーレス化とは、今まで紙でやりとりしていた書類や資料をデータ化し、ネットワーク上で管理・保存することで、紙文書の利用を最小限にすることです。
ペーパーレス化を進めるとオフィスに出向く手間が省けるとともに、情報共有などが手軽にできるようになり、テレワーク業務の幅が広がります。
ペーパーレス化が、業務のココに効く!
資料や請求書、書類など、紙文書でのやりとりを前提にしていると、書類の処理だけで時間をとられたり、働く場所に制限が生まれてしまいます。ペーパーレス化を進めることで、時間や場所にとらわれない新しい働き方が実現できるのです。
さまざまな業務文書の電子化は、コピーやプリント経費の削減をはじめ、データベース化による書類検索の容易化など、業務効率化につながるメリットもあります。現存の紙文書を電子化するだけでなく、紙文書がなくても仕事が進められる業務環境を整えるのが理想的と言えるでしょう。
世界規格の電子文書フォーマット『Adobe Acrobat DC(PDF)』
Adobe社が提供する『Adobe Acrobat DC(PDF)』は、既存の紙文書を電子化し、PDF形式で保存できます。
PDF形式は、パソコン、スマートフォンの各種デバイスに対応していて、異なるOS間でも同じイメージで統一した表示が可能なファイル形式です。ファイル閲覧が可能なアプリは無料で利用でき、ファイル編集・保存が可能な有料バージョンがあります。
ITツール・アプリ名 | Adobe Acrobat DC(PDF) |
提供企業 | アドビシステムズ株式会社 |
URL | https://acrobat.adobe.com/jp/ja/acrobat.html |
ITツール・アプリジャンル | 電子文書アプリ。クラウド型・グループ版など、利用シーンに合わせたバージョンがあり。 |
機能・特徴 | PDF形式ファイルの閲覧、編集、保存、電子サイン機能によるオンライン署名、クラウドでのデータ共有・共同編集なども可能。 |
利用形態/対応OS | パソコン、スマートフォンなどで利用可。
Windows、MacOS、Android、iSOに対応。 |
価格(税別) | ・個人向け:Acrobat Pro DC:1,580円/月 ・法人向け:Acrobat DC グループ版:1,880円/月(1ライセンス) ※個人向けは1ユーザー使用のシングルライセンス、法人向けは複数ユーザー使用の複数ライセンスです。 |
スタッフ間のコミュニケーションを活性化する「ビジネスチャットツール」
スタッフ間のコミュニケーションに欠かせないチャットツールは、個人でも利用可能な無料版が多く存在します。Skype、LINE、カカオトーク、Googleハングアウトなど各社から提供されています。
一方、チャットツールは、情報漏えいや成りすましによる乗っ取りの危険性もあります。有償版にはなりますが、機密性の高いビジネスシーンでは、セキュリティ対策機能があるビジネスチャットツールの利用がおすすめです。
ビジネスチャットツール導入が、業務のココに効く!
ビジネスチャットツールは高いセキュリティ技術を誇るため、画像や動画などの資料共有の際のデータ暗号化はもちろん、パソコンやスマートフォン紛失時の情報漏えい、誤送信などの事故を未然に防げます。
業務タスクごとにチームのチャットルームを作成できるため、複数人とリアルタイムでコミュニケーションがとれ、情報伝達がスムーズです。スタッフ間のコミュニケーションが円滑になり、情報も時系列で追えるため、タスク管理にも最適です。
日本国内での利用・法律適応を考えて設計された『InCircle』
『InCircle』は、日本国内での利用者を想定し、純国産プロダクトとして開発された高いセキュリティ技術を誇るビジネスチャットツールです。
シンプルでなじみやすいインターフェースが特徴で、社内外のコミュニケーションを問わずに活用できます。AIチャットボットによる簡易なルーチンワーク対応や、監査ログの取得により内部統制も図ることができ、業務改善にも活用できます。
ITツール・アプリ名 | InCircle |
提供企業 | AI CROSS株式会社 |
URL | https://www.incircle.jp/ |
ITツール・アプリジャンル | 簡単に使える操作性とセキュリティを両立したビジネスチャットツール。 |
機能・特徴 | チャット、ファイル添付、API機能などの基本機能を実装。InCircle APIを使って別システムとの連携も可能。 多彩なポリシー設定、3重の暗号化、ユーザー管理、端末制御(オプション)に対応。 |
利用形態/対応OS | パソコン、スマートフォン、Android搭載携帯電話(ガラホ)で利用可。 Windows、MacOS、Android、iSOに対応。 |
価格(税別) | ・ベーシック…180円/ID(月) ※30ユーザー以上 ・トライアル…無料(30日間) ※20ユーザー |
交通費削減・時間短縮にもつながる「WEB会議ツール」
パソコンやスマートフォンなどの端末でWEB会議ツールを使用すれば、直接対面しなくてもインターネット上で会議を行えます。
Eメールや電話だけでは伝わらない細かいニュアンスも、交通費や時間をかけずに、実際に対面しているかのような環境でコミュニケーションをとることができます。
WEB会議ツールが、業務のココに効く!
WEB会議ツールでは、パソコンやスマートフォンの内蔵・外部カメラを利用して、互いの顔を画面映し出すことができます。顔を見ながら会議進行ができるので、効率の良いコミュニケーションが図れます。必要に応じて音声・映像のオンオフの設定は自由にできるため、都合に合わせて使い分けできます。
テレワークで業務を行う上で、特に顧客や取引先との商談、定期ミーティングを行う上では不可欠のツールです。
ビジネス用途に限らず個人でも使えて、パソコン・スマートフォンの内蔵マイクやヘッドフォンがそのまま使えるWEB会議ツールは、さまざまなものが無料・有料を問わず提供されています。利用時間、セキュリティ対策・アクセス制限、利用環境など、提供している機能に応じて必要なツールをセレクトすると良いでしょう。
世界中で2億ユーザーが使うWEB会議ツール『Zoom』
『Zoom』は、世界で2億ユーザーに使われているというWEB会議やメッセージング機能などを統合したWEB会議ツールです。
無料版は1対1のミーティングに時間制限なし。多人数の場合は最長40分間、最大100人までのグループ会議が行えます。アプリのインストールが必須ですが、通信が安定しているためWi-Fi回線でも快適に使用できるのが特徴です。
有料版(ビジネス)を利用すると、ミーティング時間が24時間まで拡大されるほか、ホスト役が有料版を持っていれば参加者は無料で会議に参加できます。
ITツール・アプリ名 | Zoom |
提供企業 | Zoomビデオコミュニケーションズ |
URL | https://zoom.us/jp-jp/meetings.html |
ITツール・アプリジャンル | WEB会議ができるクラウドサービス。 |
機能・特徴 | チャット、資料共有、録画、ホワイトボード機能を実装。 既存のH.323/SIPテレビ会議端末の接続も可能。 最大同時500名での接続が可能(標準は100同時接続)。 主催者のみ有償ライセンスがあれば参加者は無料アプリのダウンロードのみで会議できる。 |
利用形態/対応OS | パソコン、スマートフォンで利用可。 Windows、MacOS、Linux、Android、iSOに対応。 |
価格(税別) | ・基本…無料 ・プロ(小規模チーム)…2,000円/月(1ホスト) ・ビジネス(中小企業向け)…2,700円/月(1ホスト) |
オンライン商談や名刺交換を円滑化する「クラウド名刺管理ツール」
テレワーク需要の高まりにより、営業活動のオンライン化が注目されています。
営業職は一見、テレワークには不向きに見えますが、外出機会が多く、移動時間もかかってしまうという職種の特性を考えると、IT活用によって時間や場所に縛られることなく営業活動ができるようになるため、生産性向上が見込める余地があります。
これまでのビジネス習慣を変えて営業活動を活発化させるために、オンラインでの新しい働き方に備えましょう。
クラウド名刺管理ツール導入が、業務のココに効く!
オンライン商談や営業ミーティングを行う際は、これまでの営業スタイルとは異なる環境が必要です。そのひとつとして、名刺交換がオンライン上でできる名刺管理ツールがあります。
WEB会議開催時などにオンラインで名刺交換ができ、顧客情報の素早いデータベース化が可能です。顧客情報の一元化と社内共有がスムーズに行えるようになり、顧客フォローが格段にスピードアップします。
テレワークのオンライン商談、営業活動をサポートする『Sansanオンライン名刺』
Sansan株式会社のクラウド名刺管理サービス『Sansan』は、名刺管理をデジタル化するツールです。
名刺情報をデータ化することで、営業前、登録した顧客先の会社名や所属などの企業データを事前に確認したり、複数担当者で煩雑化していた名寄せを簡単に行えたり、最適な営業アプローチが可能になります。
また、組織内での人脈共有や顧客管理、マーケティング活動との連携など、名刺が持つ価値を最大限に活用し、皆様の働き方を変える名刺管理ツールです。
さらに、2020年6月に追加機能として搭載される「オンライン名刺」の機能を利用すれば、オンラインでの営業活動の幅が大きく広がります。
同機能では、クラウド上にある自分の名刺を、簡易な操作で相手に送付。オンライン上での名刺交換が手軽に行えるようになります。オンライン商談やビジネスイベント参加などの際に、複数の相手に対しても手軽に名刺交換できるようになり、営業力の強化に役立ちます。
ITツール・アプリ名 | Sananオンライン名刺(2020年6月リリース予定) |
提供企業 | Sansan株式会社 |
URL | https://jp.sansan.com/online-meishi/ |
ITツール・アプリジャンル | 法人向けクラウド名刺管理ツール |
機能・特徴 | オンライン名刺機能は、Sansanユーザー同士の場合、名刺送付用のURLを送り合うことで、名刺情報の交換が可能に。また、商談相手がSansanユーザーでなくてもQRコードにより、名刺情報を受け取ることができる。
これにより、オンラインでも名刺情報の交換を可能にし、お互いの情報を知ることからはじまる、スムーズな商談体験を実現。 |
利用形態/対応OS | パソコン、スマートフォンなどで利用可。 Windows、MacOS、Android、iSOに対応。 |
価格(税別) | ・『Sansan』無料トライアル有り:https://jp.sansan.com/form/freetrial/
※プランは企業の状況に応じて、Lite、Standard、DXが有り。 |
ビジネスを劇的に変える!便利なITツール・アプリを導入して、オンラインの新しい働き方を!
新型コロナウイルス感染症対策に伴う外出自粛、テレワーク推奨が長期化し、各企業は働き方の変化を余儀なくされています。
事業継続に大きな影響を受けている業種もある中、日本の経済成長や自社のビジネスを支えていくためには、今までの固定概念にとらわれない働き方へのシフトが求められます。最適なITツール・アプリを導入し、オンラインでの新しい働き方への一歩を踏み出しましょう。