目次
【厚生労働省】働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)
厚生労働省が実施している「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」(旧名称・時間外労働等改善助成金)は、労働時間の改善や仕事と生活の調和の推進のため、在宅またはサテライトオフィスで働くテレワークに取り組む中小企業事業主を支援する制度です。
なお、新型コロナウイルス感染症対策に伴うテレワーク導入については、条件緩和の措置がとられたコースもあります。詳しくは別項目で解説します。
助成金名 | 働き方改革推進支援助成金(テレワークコース) |
実施主体 | 厚生労働省 |
概要 | テレワークを新規(試行実施含む)で導入する中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成する制度 |
支給額 | 対象経費の合計額×助成率(左記を超える場合は上限額)
※助成率と上限額については次項で解説 |
申請締切 | 交付申請の受付は2020年12月1日まで |
申請窓口 | テレワーク相談センター |
関連WEBサイト | ・厚生労働省:働き方改革推進支援助成金(テレワークコース) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/telework_10026.html ・テレワーク相談センター https://www.tw-sodan.jp/ |
支給対象者
支給対象者は、以下のすべてに該当する中小企業事業主です。
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること。
- 次のいずれかに該当する事業主であること。
業種 A.資本または出資額 B.常時雇用する労働者 小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下 サービス業 5,000万円以下 100人以下 卸売業 1億円以下 100人以下 その他の業種 3億円以下 300人以下 出典:厚生労働省|働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)
- テレワークを新規で導入する事業主、またはテレワークを継続して活用する事業主であること。
※試行的に導入している事業主も対象です。
※過去に本助成金を受給した事業主は、対象労働者を2倍に増加してテレワークに取り組む場合に、2回まで受給が可能です。 - 時間外労働の制限や労働時間などの改善を目的として、在宅またはサテライトオフィスで働くテレワークの実施に積極的に取り組む意欲があり、かつ成果が期待できる事業主であること。
支給対象になる取り組み
テレワークを導入するにあたって、以下の取り組みをいずれか1つ以上実施する必要があります。取り組みに要した費用が助成されます。
- テレワーク用通信機器の導入・運用
※端末は、ハードディスクを持たないシンクライアントパソコンなどの端末が対象。通常のパソコン、タブレット、スマートフォンは支給対象となりません。 - 保守サポートの導入
- クラウドサービスの導入
- 就業規則・労使協定などの作成・変更
- 労務管理担当者や労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング
成果目標と評価期間
事業実施期間(交付決定の日から2021年2月15日まで)の中で、1カ月から6カ月の間で「評価期間※」を設定し、以下の成果目標を達成することを目指して支給対象となる取り組みを実施する必要があります。
※評価期間は、申請者が事業実施計画を作成する際、自ら設定します。
- 評価期間に1回以上、対象労働者全員に、在宅またはサテライトオフィスで就業するテレワークを実施させる。
- 評価期間に、対象労働者が在宅またはサテライトオフィスでテレワークを実施した日数の週間平均を1日以上とする。
- 所定外労働の削減について、労働者の月間平均所定外労働時間数を前年と比較して5時間以上削減させる。
支給額
支給対象となる取り組みの実施にかかった費用の一部が、目標達成状況に応じて支給されます。
・対象経費
謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、 備品費、機械装置等購入費、 委託費
・助成額
対象経費の合計額×補助率(上限額を超える場合は上限額)
上限額は、「1人当たりの上限額」×対象労働者数、または「1企業当たりの上限額」のいずれか低い方の額
・達成状況に応じた支給基準
成果目標の達成状況 | 達成 | 未達成 |
補助率 | 3/4 | 1/2 |
1人当たりの上限額 | 20万円 | 10万円 |
1企業当たりの上限額 | 150万円 | 100万円 |
申請の流れ、申請期間(締切)
助成金を利用するための申請の流れは、次のようになります。
- 「働き方改革推進支援助成金交付申請書」を必要書類とともに、テレワーク相談センターに提出する。
(締切は2020年12月1日。国の予算額により締切が早まる場合あり) - 厚生労働省から「交付決定通知書」が送付される。
- 交付決定後、提出した計画に沿って取り組みを実施する。
- 事業実施期間終了後、テレワーク相談センターに支給申請する。
(締切は2020年3月1日) - 厚生労働省から助成金が支給される。
【厚生労働省】新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコースの助成(働き方改革推進支援助成金の時限的措置)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、政府は2020年3月3日にテレワークに関する助成金の特例を発表しました。
「働き方改革推進支援助成金」(旧名称・時間外労働等改善助成金)の対象事業者や取り組み要件を緩和した時限的な特例措置となっています。
助成金名 | 新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコースの助成 |
実施主体 | 厚生労働省 |
概要 | 新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規(試行実施含む)で導入する中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成する制度 |
支給額 | 補助率:1/2(1企業当たりの上限額:100万円) |
申請締切 | ・交付申請の受付は2020年5月29日まで
・支給申請の受付は2020年7月15日まで |
申請窓口 | テレワーク相談センター |
関連WEBサイト | ・厚生労働省:新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコースの助成(働き方改革推進支援助成金 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisikitelework.html ・テレワーク相談センター https://www.tw-sodan.jp/ |
対象事業主
支給対象者は、新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規(試行実施含む)で導入する、下記の中小企業事業主です。
なお、労働者災害補償保険の適用中小企業事業主であることが条件となります。
業種 | A.資本または出資額 | B.常時雇用する労働者 |
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
出典:厚生労働省|働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)
助成対象の取り組み
テレワークを導入するにあたって、以下の取り組みをいずれか1つ以上実施する必要があります。取り組みに要した費用が助成されます。
- テレワーク用通信機器の導入・運用
※端末は、ハードディスクを持たないシンクライアントパソコンなどの端末が対象。通常のパソコン、タブレット、スマートフォンは支給対象となりません。 - 就業規則・労使協定などの作成・変更
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング主な要件と助成対象の期間
2020年2月17日~5月31日の間が助成対象となる期間です。この実施期間に、次の要件を満たすことが必要です。
- 助成対象となる取り組みを行うこと。
- テレワークを実施した労働者が1人以上いること。
支給額
支給対象となる取り組みの実施にかかった要した費用の半額(100万円が上限)が支給されます。
・対象経費
謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、 備品費、機械装置等購入費、 委託費
・助成額
対象経費の合計額×1/2(1企業当たりの上限額:100万円)
申請の流れ、申請期間(締切)
助成金を利用するための申請の流れは、次のようになります。
- 「働き方改革推進支援助成金交付申請書」を必要書類とともに、テレワーク相談センターに提出する。
(締切は2020年5月29日) - 厚生労働省から「交付決定通知書」が送付される。
- 交付決定後、提出した計画に沿って取り組みを実施する。
- 事業実施期間終了後、テレワーク相談センターに支給申請する。
(締切は2020年7月15日) - 厚生労働省から助成金が支給される。
【経済産業省】IT導入補助金2020(特別枠)
「IT導入補助金2020」は、中小企業・小規模事業者などの生産性向上を支援する目的で、ITツール(ソフトウエア、サービスなど)の導入にかかる経費を一部補助する制度です。
当初予定していた1次公募の受付は終了していましたが、新型コロナウイルス感染症への支援策として、特別枠による臨時対応の措置が発表されています。最新情報は随時更新されますので、関連WEBサイトなどで最新情報をご確認ください。
補助金名 | IT導入補助金2020(A・B類型) |
実施主体 | 経済産業省 |
概要 | 中小企業・小規模事業者などの生産性向上を支援する目的で、ITツール(ソフトウエア、サービス等)の導入にかかる経費を一部補助する制度 |
支給額 | ・補助率:1/2以下
・補助下限額・上限額 |
申請締切 | ・交付申請期間:2020年5月11日~2020年12月下旬まで ※特別枠として、5月29日17時に締切、以降も複数回の締切が設けられる予定。・事業実施期間:交付決定後~6か月間程度 ※特別枠として、詳細日時は別途指定される予定。 |
申請窓口 | サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局 https://www.it-hojo.jp/ |
関連WEBサイト | サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局 https://www.it-hojo.jp/ |
対象事業主
補助対象者は、飲食、宿泊、卸売、小売、建設、運輸、医療、介護、保育など幅広い業種の中小企業・小規模事業者です。
業種によって資本金、従業員数の条件が異なるため、詳細は関連WEBサイトでご確認ください。資本金、常勤従業員数の条件を満たしていれば補助金の対象となります。
導入するITツールの要件・補助対象経費
補助対象となる経費は、同制度の「IT導入支援事業者」に登録されたITツールを導入する費用(ソフトウエア費、導入関連費)です。
対象ITツールは事務局サイトで公開されます。
補助金・補助率
補助率と限度額は下のようになっています。
・補助率
1/2以下
・補助金の下限額・下限額
A類型:30万円~150万円未満
B類型:150万円~450万円
申請の流れ
「IT導入補助金2020」の申請の流れは以下の通りです。
- ITツールの選定などの事前準備
- 交付申請
- 交付決定
- 補助対象となる取り組みの実施
- 事業実績の報告・補助額の確定
- 補助金の交付手続き
- 事業実施効果の報告
【東京都】はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)
東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受けた都内の中堅・中小企業などに対して、東京しごと財団がテレワークをトライアルするための環境構築経費や制度整備費を補助する制度です。
補助金名 | はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金) |
実施主体 | 東京都(公益財団法人東京しごと財団) |
概要 | 東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受けた企業などに対して、テレワークをトライアルするための環境構築経費および制度整備費を補助する制度 |
支給額 | 最大で110万円(補助率10/10) |
申請締切 | 2020年4月8日から2021年3月31日まで |
申請窓口 | 公益財団法人東京しごと財団 雇用環境整備課 職場環境整備担当係(はじめてテレワーク担当) |
関連WEBサイト | 公益財団法人東京しごと財団|はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金) https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/joseikin/telework.html |
対象事業主
補助対象者は、主に以下に該当する都内の中堅・中小企業事業者です。
- 東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受けていること。
- 都内に勤務している常時雇用する労働者を2人以上999人以下、かつ6か月以上継続して雇用していること。
- 就業規則にテレワークに関する規定がないこと。
- 東京都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加していること。
※その他の詳細条件は、募集要項で確認できます。
「2020TDM推進プロジェクト」とは?
東京オリンピック・パラリンピック大会の開催期間中、東京都を中心とする地域の交通混雑緩和と経済活動の両立を目指すためのプロジェクトです。
東京都、内閣官房、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が事務局となり、賛同企業に対して、大会期間中の休暇の計画的取得、時差出勤やテレワークの実施、オフィスのゴミ削減や紙文書の電子化、納品・集荷輸送ルートの最適化などの取り組みを推進しています。
◆「2020TDM推進プロジェクト」公式WEBサイト:https://2020tdm.tokyo/
補助対象費用
補助対象の取り組みと対象費用は以下の通りです。
- テレワーク環境の構築
在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務を行うための環境整備費用。対象機器やソフトウエアは、東京都が提供する「テレワーク導入プラン」から選定します。 - 就業規則へのテレワーク制度整備
テレワークに関する規定を就業規則に定めるにあたっての専門家への委託費用。
補助額・補助率
事業者の規模によって補助金の上限が異なります。
事業者の規模 | 支給上限額 | 補助率 |
従業員数300~999人の企業 | 100万円 | 10/10 |
従業員数100~299人の企業 | 60万円 | 10/10 |
従業員数100人未満の企業 | 30万円 | 10/10 |
上記の支給上限額とは別に、就業規則へのテレワーク制度整備について、従業員数に関係なく上限10万円(補助率10/10)が設定されています。
申請の流れ
「はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)」申請の流れは以下の通りです。
テレワーク導入のメリット
新型コロナウイルス感染症対策に伴う外出自粛により、在宅勤務によるテレワークがこれまで以上に注目を集めています。その理由は、緊急時においても、主事業を継続させ、従業員が普段と変わらず働けるテレワークのワークスタイルにあります。ただ、テレワークを導入することによるメリットはそれだけにとどまりません。
以前より、働き方改革への取り組みのひとつとして推進されてきたテレワークには、次のような効果を企業にもたらします。改めて確認してみましょう。
経営の見える化
ITツールの活用により、最新の経営状況やデータベース分析結果などを、経営層やマネジメント層は自らリアルタイムに抽出・把握することが可能となります。その結果、業務管理や会計・財務管理の精度が向上し、即座に効果的な施策を実行することができます。
優秀な人材の確保と流出防止
従業員のワークライフバランスを実現します。出産や育児、介護、病気などを理由に特定の場所へ出社することが難しい従業員でも、テレワークを活用することで働くことができます。一人ひとりのライフステージ、事情に合わせた就労環境を提供できるため、優秀な人材を定着させることに役立ちます。
生産性向上と顧客満足度の向上
テレワーク環境を構築することは、業務のデジタル化を整備することとセットです。業務のデジタル化により、これまで属人的だった業務やバラバラだった業務内容が可視化されて、社内の情報がデジタルデータで一元管理されます。
これにより、顧客や取引先など社外との情報共有もスムーズに行えるようになり、顧客対応のスピードが向上したり、データに基づく最適な営業提案が実施できるため顧客満足の向上へとつながります。
テレワークを入口としたITツール活用を拡大していくことで、社内のムダをなくす業務効率化を図ることができ、その浮いた人的リソース・物的リソースを新規事業へ振り分けることも可能で、結果として企業を成長させる生産性向上を図ることができます。
オフィスコストの削減と働きやすいライフスタイルの実現
紙文書のデジタル化によるペーパーレス、オープンデスク化などによるオフィススペース・備品の最適な設置、電力消費量や従業員の交通費などのコスト削減にも効果が期待できます。
また、通勤時間や勤務中の移動時間が減ることで、従業員は仕事と生活の調和がとれたライフスタイルを実現することが可能になります。
事業継続計画(BCP)
普段のような勤務が難しい事態が発生した場合(感染症拡大、自然災害、テロ、大規模イベント開催時など)に備え、自社の主事業が継続できる環境を整えておくことを事業継続計画(BCP)と言います。
業務継続や業務管理の方法、顧客や取引先との円滑な連携、物流・配送ルートの確保や調整など、自社の環境整備だけでなく、外部との連携方法も含めて計画しておくことで、緊急事態においてもスムーズな事業復旧を目指せます。
新型コロナ対策に伴うテレワーク導入費用は、助成金・補助金の活用を!
国や東京都のテレワーク導入に関する助成金・補助金制度についてご紹介しました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外出自粛により、テレワーク導入を急きょ検討している企業も増えています。事業継続のための対策のみならず、業務効率化や生産性向上を図るきっかけとして、助成金・補助金を活用したテレワークの導入を検討してみてはいかがでしょうか。