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展示会名刺から「見込み客」を育成するために
展示会にはたくさんのお客様が来場しますが、すぐに商談につながるようなお客様はごく少数です。その少数のお客様と実際に取引ができれば、それはそれで大きな成果と言えるでしょう。それでは、それ以外の大多数の来場者名刺はその後どうなるのでしょう。数件の成果で満足していては、もったいないですね。
展示会で名刺交換をしたお客様の大半は、購買や商談のために来場したというよりは、「ちょっと興味があって、情報収集のため」に立ち寄ったという人なのです。
大切なのは、こうしたすぐには商談にならない「見込み客」をいかにして育成していくかなのです。
そうは言っても、数十枚から場合によっては100枚を超えるような名刺をフォローし、育成するというのは簡単ではありません。営業は現在抱えている案件や、有力な顧客のフォローなどで手一杯で、海の物とも山の物ともつかない名刺の束から、中長期的に優良なお客様を見つけ出し、育てるというは大変なことです。
そこで、今回は、効率的かつ生産性の高い、展示会で名刺交換した「見込み客」を育成するための方法を4つのステップで説明します。
【ステップ1】獲得した名刺をデータに変える
まず名刺は全てデータに変えます。会社名、所属部署、役職、氏名、メールアドレスなどをデータに変換します。
データに変える方法は、エクセルなどで地道に入力する方法もありますが、名刺のデータ化できるアプリをダウンロードしたり、名刺を手入力でデータ化してくれるサービスを利用したりすると手間がいりません。大切なのは、担当者が獲得した全ての名刺をデータにすることです。
これにより、下記メリットを得ることができます。
- 個人の手元でフォローされないまま放置されることを防ぐ
- 顧客毎にランクをつけたり、フォローの履歴を残したりすることが容易になる
- メールを活用してのフォローがやりやすくなる
データは一元管理が基本です。個々人でデータ化したのでは意味が半減してしまいます。なぜなら名刺は組織で管理することで、担当者の異動によりフォローが途絶えたり、引き継ぎが遅れてフォローにムラができたり、という弊害を減らすことができるからです。
また、展示会以外の名刺もデータ化されていれば、過去における顧客との社内の他の担当との接触などの履歴も知ることができるでしょう。これにより、その後のフォローの頻度や方法を変えることで、商談へのきっかけにつながります。
【ステップ2】メール・WEBによるコミュニケーションの継続
展示会での獲得名刺の大半はすぐには商談化しません。前述しましたが、営業は今現在の案件や有力顧客へのアプローチに忙しく、未だ卵の状態といえる展示会での獲得名刺に割く時間もモチベーションもないでしょう。それでも、これらの名刺をきちんとフォローしておかないと、展示会に投資した時間とお金と労力を、未来の優良顧客と一緒に、破棄してしまうことになりかねません。
そのためには、1対Nで、効率のよい生産性の高いフォロー、つまり相手への情報発信が必要なります。その方法が、メールとWEBによるフォローなのです。
【ステップ3】見込み客の行動の分析
メールとWEBでの情報発信を継続するだけでは、見込み客は見込み客のままです。WEBからの問い合わせを待つだけではなかなか次のステップには進展しません。また、メールやWEBサイトにどれだけの見込み客が興味を示しているのか、何に関心を持ったのかがわかりません。そこで、メール・WEBでの見込み客の動きを可視化していきます。動きを可視化するとは、顧客はホームページのどのコンテンツに興味を持ったか、何を知ろうとしているか、メールによる誘導については、何に反応をしたか、を整理分析していくことです。
見込み客は、送ったメールの内容に興味があれば、メール内のリンクをクリックし、サイトに誘導されます。クリックした顧客のサイト内の行動や行動パターンを分析して、スコアリング(点数付)を行います。スコアの高い顧客(企業名)の名簿を作成します。この名簿をベースにして、次のステップに移行します。
【ステップ4】見込み度を“高める”コミュニケーション
スコアリングによる名簿ができあがったら、次に属性に合わせた個別のアプローチを行っていきます。
例えば、以下のようなアプローチを顧客の反応と属性と合わせて、考えながら行っていきます。工場での生産効率を高めた事例を紹介したページを閲覧した製造部門の顧客に対して、
- 生産性向上セミナーの案内メールを送る
- 自社商品の価格のページを閲覧した購買部の顧客に対して、営業から電話連絡をしてみる
さいごに
展示会で獲得した名刺は、皆同じような状態で、どれが有力顧客に変わっていくのかはわかりません。
以上のようなステップを踏んだフォローを継続することで、有力顧客候補が見えてくるはずです。全ての見込み客に同じアプローチをかけ、反応があったら、個別にアプローチの方法を変える。こうしてリードナーチャリングを継続することで、成果へとつながるはずです。