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人材育成の課題と解決策|ビジョンの共有と育成方針の明確化がポイント

投稿日:  最終更新日: 2020年03月03日
日本企業にとって、少子高齢化や働き方の多様化が進む中で、人材育成はこれまで以上に不可欠なものになっています。有益なスキルや経験を持つ人材はもちろん、自分らしく活き活きと主体的に働く人材は、企業と従業員の双方にプラスの効果をもたらします。 そこで今回は、日本企業が抱えている人材育成の課題と、その対応策についてポイントをまとめました。

人材育成の課題と解決策

人材育成とは何か

人材育成とは、所属している従業員に対して、企業の永続的な成長に貢献するような自社の業務やマインドに必要なスキルを身に付けさせることを言います。組織と従業員個人の成長は不可分であり、成長している企業の従業員は、モチベーションが高く、人材としての成長も早い傾向にあります。

また、現代は「人生100年時代」とも言われます。内閣府の『平成30年度 年次経済財政報告』の中で、長寿化が進む現代においては「長い人生をより充実したものとするためには、性別や年齢にかかわらず高いスキルを身に付けられる環境を整備していくことが重要な課題」だと触れられており、時代環境の変化に即した人材育成が求められています。

長期的に企業の成長を持続させる育成

企業の永続的な成長のためには、中長期的な視野に立った人材育成が必要です。1か月後や半年後、1年後といった短期的な視点で業務をこなせるような教育も大切ですが、それだけでは永続的な成長を目指した育成とは言えません。

中長期的な、5年後、10年後、場合によっては数十年後の、景気変動やグローバル競争、変化する社会環境に対しても、柔軟に自社のビジネスを舵取りできるような能力や経験を持つ人材を育てることで、あらゆる変化に対応できる強い組織となります。

数年先に自社がどのような事業展開をしているのか、経営方針や事業計画とも連動した戦略的な育成計画が大切です。

人生100年時代に求められる人材育成

「人生100年時代」と呼ばれる現代には、どのような人材育成が求められるのでしょうか?「人生100年時代」という言葉を、次の3つの側面に分けてみましょう。

  • 長寿化の時代
  • 働き方の多様化の時代
  • デジタル時代

それぞれの側面から1つずつ見ていきます。

  • 長寿化の時代
    長寿化によって“現役”でいる期間が長くなります。これまでの時代であれば1つの職種やジャンルで終えていた現役生活も、学び直し(リカレント教育)による人生の再設計が可能になります。何歳になっても学ぶことに意欲的な人物の育成が求められます。
  • 働き方の多様化の時代
    正規・非正規、性別、年齢、就業場所や労働時間を問わず、新しい時代の多様な雇用形態で働く、あらゆる人材が育成の対象です。これまでの時代であれば、育児や介護、遠隔地に在住していること、年齢などを理由に働くことを断念せざるを得なかった人材も、雇用形態が多様化することで貴重な戦力として活躍してもらうことが可能です。
  • デジタル時代
    IT技術の発展につれ、かえってIT技術で代替できない能力が重要になってきています。例えば、AI(人工知能)に代替できない能力としては、高度な読解力や伝達力、問題解決能力、分析能力、人間らしい柔軟な判断といった非定型な能力が挙げられ、IT分野の人材において今後、ますます求められる能力です。

人材育成の目的と効果

企業における人材育成の具体的な目的としては、主に次のような点が挙げられます。

  • 人材の確保(定着率の向上、離職の防止、潜在労働力の活用)
  • 知的生産性の向上
  • 組織パフォーマンスの向上
  • 経営ビジョンの共有

これらはすべて企業の永続的な成長につながるテーマです。適切な人材育成を行うことで、個々人が仕事で活躍でき、成功体験や成長実感を得ることで、モチベーションが向上し、快適な職場・企業であると感じるようになります。

特に近年は、いわゆる「日本型の終身雇用」が限界を迎え、企業にとっても雇用を定年まで保証できる社会環境にはありません。これに対して従来型の、新卒一括採用に沿った人材育成、終身雇用を前提とした人材育成では、企業として生き残れないばかりか、働く従業員にとっては魅力的な職場環境とは言えません。

そのため、仕事を通じたスキルの取得や成長、多様なキャリアパスの実現をサポートするような人材育成が求められている傾向にあります。

企業における人材育成の課題・問題点

次に、現在、企業が抱えている人材育成の課題・問題点について見てみましょう。よく指摘される課題・問題点には次のようなものがあります。

  1. 人材を育成する時間をとれない
  2. 人材育成の方向性・方針を具体化できていない
  3. 人材育成の方法が適切ではない(ノウハウがない)
  4. 指導者に育成能力がない

それぞれ詳しく見てみていきましょう。

1.人材を育成する時間をとれない

社内の人材育成がなかなか進まない原因の1つに、人材育成の担当者が人材育成の時間をとれないことがあります。多くの企業では、人材育成を担当するのは主に管理職やリーダー職にある人です。その場合、次の2つの理由で時間をとることができないケースが発生します。

  • 自分の業務の中で人材育成の優先度が高く設定されていない
    ◆組織としての意思統一ができていない場合
    ◆業務処理のスキルに問題がある場合
  • 管理職・リーダー職としての業務量が適切ではない
    ◆部下の管理業務や上司から受けるタスクが多すぎる場合
    ◆周囲に業務を割り振るスキルに問題がある場合

いずれの場合も、やらなくてはいけないと分かっていながら着手できない状態で、人材育成に当てる時間の優先順位が下がってしまう状況と言えます。人材育成に着手する前に、担当者の業務量の見直しや、優先順位の組織内での意思統一が必要です。

2.人材育成の方向性を具体化できていない

どのような人材を育てていくのか、自社が育成する人材像のイメージが具体化できていないことがあります。

例えば、自社が強みとしている(または今後、注力していく)のが職種領域Aであるにもかかわらず、領域Bや領域Cの育成をしても必要な人材は育ちません。人材育成の定義や求める人材像が曖昧なままでは、従業員にとっても何を目指すべきか分からず、モチベーションに影響します。

また、長期的な視野に立った事業計画や経営ビジョンをもとにした育成計画が欠落していることもあります。

人材育成にはさまざまな方法がありますが、自社にマッチした具体的な育成計画がないことで、その場しのぎのOJT(実務を通して行う職業訓練)を行ったり、目的がなく慣習的に研修を受けさせたりする状況が生じます。

3.人材育成の方法が適切ではない(ノウハウがない)

研修内容や方法など育成のための手段が、目標とする人材育成に合っていないことがあります。その背景には、次のような課題が潜んでいることがあります。

  • 人材育成のノウハウがない
  • 人材育成の予算不足(計画不足)
  • 情報収集不足、育成への過剰な過信
  • 社内の意志の不統一

いずれも、人材育成の目的や育成計画の明確化がなされていないことと関連しています。自社だけで対応が難しいときには、外部リソースや公的機関を活用したり、準備段階の時間をしっかりとったりするなど、将来にわたって企業を成長させる戦略の1つとして取り組むことが大切です。

4.指導者に育成能力がない

人材育成を担当する指導者の育成能力に問題がある場合があります。

育成する領域の知識や経験、マネジメント経験や人に教えるスキル、コミュニケーション能力、マインド不足などがあると、人へ適切に教えることはできません。指導者には、通常の業務とは異なる能力や経験も求められます。普段の仕事で優れた成果を出せる人材が、必ずしも育成に向いているとは限りません。任命する際の人選がポイントとなります。

また、指導者に対するサポート体制が整っていることが好ましいでしょう。育成スキルが不足しているのであれば、指導者自身を育成するようなフォロープログラムでスキルアップも可能です。指導者としての悩みや改善への気づきは、組織の活性化や職場改善のきっかけになるかもしれません。

人材育成を特定の人だけのミッションにせず、全社的に取り組む必要があるミッションとするべきです。

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企業における人材育成の課題の解決策

企業における人材育成の課題の解決策

前項では人材育成の課題を見てきましたが、これらの課題にどのように対処すれば良いのでしょうか?さまざまな解決策が考えられますが、1つの例としてご紹介します。

  1. 人材育成の時間を確保する
  2. 企業が進む方向性を明確化して人物像を共有する
  3. 指導内容の見直し
  4. 育成ノウハウを研修などで身に付ける

1.人材育成の時間を確保する

人材育成を管轄する上司と担当者とで話し合いの場を設けて、まずは現状の把握を行って状況を整理することが大切です。ただ漠然と「しっかり育成するように」と相互確認するだけでは解決しません。その上で、どのように必要な時間を確保するのか、方策を明確化して改善する必要があります。

  • 組織としての人材育成の優先度を、指導者の実務内に位置づける
    企業としての人材育成方針を共有し、相互理解を進めます。企業全体の人材育成計画の中で、担当する育成内容が何を目指しているのか、どのような効果を期待しているのか、目的を明確に共有します。
  • 指導者の業務量を精査する
    時間的な余裕がないという場合、そもそもの業務量の見直し、ボトルネックとなっている業務の洗い出しをして、原因を探る必要があります。そもそも今の業務量が多すぎて通常業務を処理するのも困難な状態であれば、業務配分に問題があるのかもしれません。育成計画に沿って、どのくらいの時間を確保する必要があるのかが分かれっていれば、調整する業務量も明確になります。
  • 育成方法や指導者の対応内容を明確にする
    育成計画が曖昧なまま、例えば「社会人としてのスキルをOJTで教える」といった抽象的な指導では、教育にかかる時間がどのくらい必要なのか不明瞭です。
    育成スケジュール策定(実施計画)、育成対象となる部下の設定(誰を)、育成にかかる時間の想定(どのくらいの時間をかけて)、育成する具体的内容(どのようなスキル・能力を身に付けるのか)といったプランニングを行うことで、育成に必要な時間や確保すべきタイミングが見えてきます。
  • ITツールを活用する
    IT技術の発展により、業務の中には、ITツールに置き換えられるものもあります。これまで時間をとられていた作業時間が削減できるだけでなく、管理も楽になるなどのメリットがあります。クラウド型サービスの活用でどこでもいつでも情報の管理ができるツール、これまで手作業だった作業をデジタル化して新たな利用価値を付加するツールなどの導入を検討するのもおすすめです。

2.企業が進む方向性を明確化して人物像を共有する

企業が目指す方向性を明確にすることで、そのために必要な人物像を具体化できるようになります。

企業が目指す方向性は、ともすると経営理念のみの抽象的なものになりがちですが、次のような具体的な仕組み・制度、ルール・規定、意識や能力について、自社の状況を整理すると分かりやすいでしょう。

  • 経営理念
  • 事業計画
  • 経営理念と事業計画に基づく、従業員個人の職種・役割・責任
  • 業務の運用方法やルール
  • 社内の人事評価制度、処遇制度
  • ベンチマーク(目標にする会社や組織)

上記のように、自社の目指すべき方向や注力する事業方針が明確に示されれば、それに必要な人材のスキル、経験もはっきりとします。また、どのようなルールに従って、どのような成果を出せば評価されるのかが決まっていれば、不足している人材、スキルや経験が浮き彫りになります。

さらに、目指すべき会社や組織を設定することで、そのレベルへ向けて人材育成のあり方そのものを改善するPDCAサイクルも生まれてきます。

3.指導内容の見直し

人材育成のための指導内容に問題があれば、思うような効果が見込めません。求める人材像と育成内容のギャップをできるだけ小さくするような最適化は、定期的に行う必要があります。

指導内容の見直しは、次の手順で行います。

  • 求める人材像を明確にする(前項参照)
  • 現状とのギャップを具体的に書き出して明文化する
  • ギャップを解消するために必要なことを洗い出す
  • 洗い出した事項に、解消すべき優先順位をつける
  • 優先度の高い事項を指導内容に反映させる

例えば、あるスキルレベルが想定より足りていないと判明した場合、教える側のノウハウが不足している場合もあります。その際は、適切な教育が可能な人材教育企業へアウトソーシングすることで劇的に解決するかもしれません。また、セミナー参加やITツールの活用で、効率的なスキルアップを図ることができる場合もあります。

特定の手段に頼ったり、固定化した手段に固執したりするのではなく、人材像に合わせて柔軟に手段を考えることがポイントです。

4.育成のノウハウを研修などで身に付ける

人材育成は一朝一夕には実現しません。長期的に有用な人材を確保したり、企業として成長していくためには、人材育成のための適切な組織づくり、企業文化の醸成も大切です。

全社にマインドを共有するとともに、人材育成をけん引する人材を育てるためには、次のような方法があります。

  • 人材育成のための外部研修を受ける
    若手を育成するリーダー・管理職向けの外部研修は、数多く開催されています。育成のスキルや指導方法、モチベーション向上のためのテクニック、マネジメント手法などを学ぶことができます。研修は、取引先銀行系列のビジネスセミナー、各種人材開発会社、中小企業大学校、専門学校などで探すことができます。
  • 公的機関の支援事業を受ける
    厚生労働省、経済産業省、各都道府県にある公益法人・中小企業振興公社、独立行政法人・中小企業基盤整備機構、商工会議所などでは、人材育成の支援事業を行っています。人材育成計画の策定サポート、研修、補助金申請など、幅広い各種支援事業があるため、活用するのも良いでしょう。

長期的な視野に立ち、適切な人材育成を

少子高齢化や働き方の多様化が進む中で、人手不足を解消する人材確保、より優秀な人材の育成が日本企業の課題となっています。

とはいえ、目の前の人手不足の解消だけを目的とした場当たり的な対応では、将来にわたって成長し続ける強い組織づくりはできません。また、その企業で働くことでスキルや経験の獲得につながり、成長できるという実感がなければ従業員は安心して働くことはできません。

長期的な視野に立ち、自社の強みや人材の特性を理解した上で、適切な人材育成を推進していくことが大切です。この記事を参考に、ITツールなども活用しながら、人材育成について改めて見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

 

    この記事の情報は2020年03月03日のものです
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