名刺管理で見なおす働き方改革

残業を減らす業務効率化を実現!ITツール導入の課題とメリットがわかる取り組み事例|中小企業の働き方改革

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現在、多様な働き方を選択できる社会の実現を目指す働き方改革の具体的な施策として、2019年4月施行の「時間外労働の上限規制」をはじめ、「年5日の有給休暇の取得義務化」など労働制度の抜本改革が推し進められています。 こうした法整備と並行して注目を集めているのが、企業における生産性向上や組織活性化への取り組みです。限られた人材を最大限に活用する組織づくり、コア業務への特化や業務改革・効率化を図ることで、いかなるビジネス環境の変化にも対応できる体制を整備するのが目的です。 その目的を具体化する原動力のひとつが、技術革新が進むITツールの導入です。IT活用が中小企業にどのような影響を与えているのでしょうか?事例とITツール導入に役立つ国の補助事業について解説します。

残業を減らす業務効率化を実現!ITツール導入の課題とメリットがわかる取り組み事例

日本の雇用の7割を占める中小企業・小規模事業者の働き方改革がカギ

中小企業庁が公表している「2019年版中小企業白書」によると、2016年の国内企業数は358.9社あり、その99.7%に当たる約358万社が中小企業および小規模事業者です。全従業員の約70%に当たる約3,220万人が、中小企業および小規模事業者に勤めています。先行して大企業の取り組みが進んでいる働き方改革ですが、今後は、中小企業および小規模事業者での取り組みが重要となります。厚生労働省・中小企業庁では、着実な取り組みのため「きめ細かな支援を行う」としています。

しかし、働き方改革関連法の施行・適用の法整備が進む中で、中小企業や小規模事業者からは、さまざまな課題や不安を訴える声が聞かれるようになってきました。

中小企業や小規模事業者では現在、少子高齢化に伴う人手不足、事業承継や後継者の育成、グローバル化など多くの課題に直面しています。その中で、魅力ある職場づくりや人材確保、業績の向上を図るような働き方改革を進める必要に迫られています。

働き方改革への取り組みで中小企業が抱える不安や課題

中小企業や小規模事業者が働き方改革に取り組む上で、そのメリットについて理念面での理解はできたとしても、現実的に実施に踏み切れないことも少なくありません。

それには、中小企業や小規模事業者が抱える次のような不安と課題が関係しています。

  1. 社内外の関係者に、働き方改革の趣旨を理解してもらえるかという不安
    働き方改革を通じて、残業や休日出勤の見直し、リモートワークやフレックスタイム制を導入するためには、従業員の理解が必要となります。しかしそれ以上に難しいのが、取引先企業や消費者など、社外の関係者の理解を得ることです。
    業務の繁閑差、発注・納期の特定時期への集中がある中で、残業規制の範囲内で業務を行えるのかは、取引先企業などの協力なしには調整できません。また、発注企業側の残業規制のしわ寄せで、生産性が悪化したり、残業が増えたりする恐れもあります。
  2. 人材確保や育成、労働時間の管理、業界慣習などの改善が図れるか不安
    中小企業や小規模事業者は、大企業と比べて資金力や人材確保の面で不利な状況にある場合がほとんどです。また例えば、そもそも労働基準法などの法令を知らない、労働時間の管理をしていない、効率の良い最新設備への投資が困難、人手不足や賃金高騰により従業員を採用できない、といった構造的な課題を抱えています。
    さらに企業風土として「長時間労働が美徳」、「先輩社員や上司よりも先に帰宅できない」、「仕事は背中を見て盗むもの」といった慣習がある場合には、業務効率化や働きやすい職場環境を阻害しているそれらの要因を改善するための意識改革から始める必要があります。

いずれにしても、不安や課題への対策を何も取らないままでは時代の変化に取り残され、企業の成長は見込めません。従来の価値観にとらわれずに、時代にマッチした魅力ある職場づくりの一歩を踏み出すことが大切です。

補助金を利用して不安を解消!ITツールを導入した働き方改革の施策

働き方改革に伴う企業の取り組みのひとつに「ITツールの導入」があります。

これまで手作業だった帳簿記入作業のデジタル化による管理業務の効率化、各種データの連携や自動化など、大幅な作業効率化や時間短縮の実現に効果を発揮します。また、業種は限られますが、時間や場所を選ばないコミュニケーションツールの活用は、出産や育児、介護や家庭の事情による遠方への引っ越しなどによる人材流出の防止、優秀な人材の確保につながります。

経済産業省は働き方改革への取り組み施策のひとつとして、企業のIT導入に対する補助金制度を設けています。具体的にどのような制度なのか、「IT導入補助金2019」(平成30年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業)を例に見てみましょう。

※同補助金の2019年の公募はすべて終了しています。

IT導入補助金2019のポイント(公募終了)

IT導入補助金2019」は、自社の課題・ニーズをもとにITツールを導入するとき、その経費の一部を補助するというものです。補助金の交付を通じて、各事業者の経営力の強化をサポートします。補助対象者は、中小企業および小規模事業者などと定められていて、医療法人、学校法人、社団法人なども含まれます。

補助金は導入するソフトウェアのパッケージによって、A類型とB類型の2種類に分けられます。それぞれで下限額・上限額が異なります。なお、どちらの場合も補助率は2分の1以下とされています。

  • A類型:40万円~150万円未満
  • B類型:150万円~450万円

2019年は、4月および5月に関係者(IT導入支援事業者と中小企業・小規模事業者)への説明会を開催。5月~6月に1次公募を実施し、その後7月~8月に2次公募を実施しました。

 IT導入補助金2020の実施内容は?

気になる2020年度の「IT導入補助金」の行方ですが、中小企業庁発表の「令和元年度補正予算案」および「令和2年度当初予算案」について、国会審議を経て2020年度も実施される見込みです。2019年度と同様に、バックオフィス業務の効率化など、事業の付加価値向上につながるITツール導入を支援することを目的としています。

補助金の概要は次の通りです。※20202月現在

【対象業種】
飲食、宿泊、小売・卸、運輸、医療、介護、保育などのサービス業、製造業、建築業なども対象。

【補助内容】
・補助額:30万円~450万円
・補助率:2分の1

【補助対象】
バックオフィス業務の効率化や新たな顧客獲得などのためのITツール導入

申請時には、事業計画期間において2つの要件を満たすことなどが必要です。
・給与支給総額が年率平均5%以上向上
・事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上

事務局が決定された後、事務局や中小企業の公式サイトで詳細情報が掲載される予定です。前年度とスケジュールが同じであれば、20205月頃に第1次公募の申請期間が始まります。

効果がわかる! ITツールを導入して業務効率化や売上アップを実現した中小企業事例

効果がわかる! ITツールを導入して業務効率化や売上アップを実現した中小企業事例

働き方改革の取り組みにおいて、ITツールを活用して業務効率化や売上アップにつなげた中小企業の事例が増えてきています。業種は、小売業、製造業、飲食業、宿泊業など多種多様で、本社所在地も特定の地域に限定されることなく、全国で取り組まれています。

地方の中小企業がどのような課題を抱え、IT活用を決断したのか。ITツールを導入したことで事業にどのような好影響があったのかを具体的な事例で見てみましょう。

事例出典:ミラサポ(中小企業庁)https://www.mirasapo.jp/

オリジナル珈琲豆の販売店・喫茶店でPOSレジ、シフト管理をIT化した事例

アルパカ舎は、富山県富山市でオリジナル珈琲豆の販売と喫茶サービスを展開している企業です。店舗は市内に2店舗あり、従業員は5名です。1号店は2014年に自宅スペースでオープンし、2018年の秋に2号店を開店しました。代表の「珈琲店をやりたい」という夢を叶えての起業でしたが、人気が高まることで売上管理業務や喫茶スペースのスタッフのシフト管理など、バックオフィス業務の負担が重くのしかかるようになりました。

同社は以前からクラウドサービスを活用してきましたが、より業務効率化につながるITツールの導入を模索。富山市南商工会から案内された軽減税率対策補助金を活用し、利用中の会計システムと連携が可能なPOSレジサービスを導入しました。シフト管理が画面上で簡単に調整ができる上、タブレット端末対応のツールを採用しました。

各種ツールを導入したことで売上管理の作業が効率化されただけでなく、商品登録をスタッフに任せられるようにもなりました。悩みのタネだった事務作業を大幅に削減できたことで、本来やりたかった珈琲豆の焙煎や経営面の業務に、集中できるようになった事例です。

日本酒製造メーカーにおいて多様な勤務形態の時間管理をIT化した事例

花の舞酒造株式会社は、創業150年を超える歴史がある静岡県浜松市の日本酒製造メーカーです。酒米には山田錦を使い、静岡県原産の原料にこだわった酒造りを続けてきました。名誉杜氏による本社の酒造工場見学は高い人気を誇ります。

60名の従業員が事業を支える同社では、日本酒造りだけでなく直営店の営業や卸売りなど、日々多くの業務があります。それによって、営業担当者は夜遅くなり、直行直帰も多く管理が難しいという課題を抱えていました。また、労務管理は社員1名が専属で行っていたため、他の業務を割り振れない環境も課題でした。

同社ではOAIT販売企業と業務課題に関する意見交換をして、勤怠管理の課題が浮き彫りに。そこで、会計・給与システムと同系列の勤怠管理システムを導入し、外勤者にはスマホから行える打刻システムを採用しました。各システムの導入には、IT導入補助金も活用しています。

その結果、内勤者・外勤者の勤怠状況がいつでも把握できるようになりました。勤怠状況の確認から給与計算までの作業時間が8割以上削減できたと言います。これまで負担となっていた業務が効率化されたことで、成果を出すことに集中できる業務体制を作ることができたのです。

OA機器の販売リース会社がITツールでデータを一元管理した事例

有限会社アクセスコーポレーションは、兵庫県尼崎市でコピー機の販売・リースを手がける企業です。取引先への売り込みなどはせず、店舗への来店を通じてサービス提案をする営業方針をとっています。7名の従業員とともに、IT分野での取り扱い商品を拡大しているところです。

これまで同社では、請求書発行用のソフトウェアを利用していましたが、そのソフトウェアが使用できなくなり、緊急の対応に迫られました。この問題には、もともと交流があった地元のITベンダーに緊急対応してもらうことで解決しましたが、この機会に、ITベンダーから中小企業でも利用できるクラウド型のERP(統合基幹業務システム)の説明を受けます。

管理機能を段階的に増やせると知った同社は、会計、販売、顧客、在庫といった各種管理機能を5年かけて導入していきました。導入を終えた頃には、例えば1つの販売データを入力すれば、顧客や会計などの各システムに反映され、データの一元管理ができようになり、利便性向上と時短効果による業務効率化を図ることができました。

IT活用のメリットである一元管理により、顧客の訪問記録や地域別の粗利益などのデータ活用もできるようになり、売上・利益の向上にも寄与するなど、会社の基盤として貢献するシステムが完成しました。

効果が見えやすいITツールを活用して、業務効率化による働き方改革を

働き方改革関連法の順次、施行によって、大企業だけでなく中小企業にも新しい働き方への模索が求められています。その過程で必ずつきまとうのは、長時間労働の是正や最適な人材活用を前提とした、業務効率化と生産性向上です。

ITツールの導入は、これら課題と向き合うために役立つ取り組みのひとつです。ここでご紹介した導入事例、国の補助金情報などを参考に、自社でも取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

この記事の情報は2020年03月09日のものです

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